「ひなまつりWikipedia 女性×かながわ」のお知らせ

 3月3日のひなまつりに、神奈川県立図書館にて、「ひなまつりWikipedia 女性×かながわ」エディタソンが行われます。私も執筆支援に行くことになっています。神奈川と女性がテーマのエディタソンですが、女性限定とか神奈川県民限定ではありませんので、どなたでもお気軽にお申し込み下さいませ。
www.klnet.pref.kanagawa.jp

 その1週間後、9日のイベントのほうもよろしくお願いいたします。

 

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「オタサーの姫」としての藤原竜也~東京芸術劇場『プラトーノフ』(少しネタバレあり)

 チェーホフ作、森新太郎演出『プラトーノフ』を東京芸術劇場で見てきた。初めて見る芝居である。チェーホフの初期作で生前は上演されておらず、そもそもタイトルもなかったらしい。原作をノーカットでやると5時間くらいかかるそうだが、このプロダクションは3時間で終わる。

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 主人公のプラトーノフ(藤原竜也)は村の小学校の教師をしているが、教育があってとにかくハンサムである。村の知識階級の女たちは次々とプラトーノフに夢中になり、プラトーノフはかつての恋人で今は人妻となったソフィア(比嘉愛未)と不倫に陥る。一方で寡婦アンナ(高岡早紀)もプラトーノフにちょっかいをかけてくるが…

 

 チェーホフ特有の、笑っちゃうほど悲惨な人生がたっぷり詰め込まれた作品なのだが、とにかくブラックユーモアが満載である。プラトーノフはハムレットのようでもあり、ドン・ファンのようでもあるのだが、藤原竜也がツボを押さえた演技でとにかく笑わせてくれる。左上に月みたいな輪がぶら下がり、真ん中から右にかけて弧のような形で設置された大きなテラスがあるというステージ美術も魅力的で、役者の動きがよく映える。

 

 見ていて思ったのは、これはいわゆる「オタサーの姫」の話だということだ。「姫」というかプラトーノフは男なのだが(私は男もプリンセスになれると思っているのでこの表現で良い)、こいつが狭い地域社会の女たちを誘惑しすぎたせいで地域社会が完全に崩壊するので、彼は所謂「サークルクラッシャー」である。そしてプラトーノフに参ってしまう女たちは、皆なんかちょっと変な理想とかこだわりを抱えている。妻のサーシャは自殺願望が強く、プラトーノフが好きすぎて精神不安定になっている。不倫相手のソフィアは「新しい生活」とか「労働」みたいなものに憧れを持っている意識高い系の純粋な女性である。寡婦アンナは奔放で風変わりな女性で、山ほど崇拝者のいる彼女自身が所謂「サークルクラッシャー」であるのだが、それなのに求めているプラトーノフの肉体と心だけは得られなくてものすごくやきもきしている。マリヤも学問などに興味のある意識が高い女の子なのだが、若すぎて自分の感情などにうまく対処できない。プラトーノフはこういうちょっとこじらせてる女たちを惹きつけてやまない機知と色気を放っており、オールラウンダーな女たらしというよりはこういう閉鎖的な環境にいる知的な女たちにだけ強力にアピールしてしまう男である。そして藤原竜也はなんかこの手の女にものすごくウケそうなねじれた色気のある男としてプラトーノフを演じており、非常にピッタリだ。私はチェーホフというのはとても現代的でほとんどアップデートしなくてもOKなくらい「新しい」劇作家だと思っているのだが、この作品もそうだと思う。

内容はいいが、字幕がちょっと…『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』

 『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』を見てきた。伝説的な女性パンクバンドの事績を追ったドキュメンタリー映画である。

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 亡くなったカリスマ的なリードヴォーカル、アリ・アップの遺言により作られたそうで、珍しいフッテージもたくさんあり、結成からアリの死まで、スリッツの歴史を詳しく知ることができる。スリッツがいかに革新的なバンドだったか、そしてこういうフェミニスト的でアヴァンギャルドな女性バンドがいかに受け入れられなかったかということも容赦なく描いている。

 

 ただ、内容は良かったのだが字幕がかなりイマイチである。たぶん意図的に"Frontperson"「フロントパーソン」という言葉を使っているのに字幕が「フロントマン」になっているところがあったのだが、女のアリがリードヴォーカルのスリッツに(フロントウーマンならともかく)「フロントマン」はいない。また、スリッツが「〜よ」とかの女言葉をしゃべる字幕になっているのは全く頂けない。あのキャラで女言葉をしゃべるわけないし、英語ではFワードとかを平気で使っているのに字幕が「クソよ」とかおかしいだろう…

MIDWEEK BURLESQUE vol.66 -フリージアとショコラ2019

 「MIDWEEK BURLESQUE vol.66 -フリージアとショコラ2019」に行ってきた。なんと「フリージアとショコラ」フェスは今年はやってないらしいのだが、それでもこれを冠したイベントである。出演者はLa Bamboo Vixen、Rosa Diamanté、Violet Eva(紫ベビードール)、バーバラ村田、J-DRAGONだった。

 

 J-DRAGONは天狗のお面などを使った和風の演目だった。Rosa Diamantéはシックスペンス・ノン・ザ・リッチャーの「キス・ミー」にあわせてハーシーのキスチョコを模した衣装(ちゃんと引っ張るところがついている)で踊る可愛い演目で、実際にチョコを配っており、私ももらった。Violet Evaは武蔵大学でやって頂いたのと似た中国風の春節の演目、La Bamboo Vixenはちょっとジャズっぽいゴージャスな演目だった。最後のバーバラ村田はバーレスクではなく仮面を使った前衛ダンスみたいな演目で、雰囲気が超独特だった。

ロッキー、お前のそういうとこだぞ~『クリード 炎の宿敵』(ネタバレあり)

 『クリード 炎の宿敵』を見てきた。

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 ロッキー(シルヴェスター・スタローン)のもとでどんどんボクサーとしての力を上げたアドニスクリード (マイケル・B・ジョーダン)は、とうとうヘビー級チャンピオンに上り詰め、ビアンカ(テッサ・トンプソン)との結婚も決まって幸せだった。ところがロッキーとアドニスの父アポロの宿敵であるイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)の息子ヴィクター(フローリアン・ムンテアヌ)がアドニスに挑戦してくる。ロッキーはアポとを死なせたトラウマでセコンドを引き受けられず、調子が狂ったアドニスはヴィクターにブチのめされてしまう。ヴィクターが反則で失格になったせいでチャンピオンの地位は保てたが、大けがをしてボロボロになったアドニスはなかなかボクシングを再開する気になれない。アドニスは立ち直れるのか…

 

 前作『クリード』に引き続き、アドニスやロッキーのキャラクターをきちんと描いて引き締まった話にしている。アドニスは前作よりも人生経験を経て繊細になった印象で、どん底から立ち直ってリングに返り咲く様子が丁寧に描かれ、クライマックスの試合シーンはすごく盛り上がる。一方でヴィクターとイワンの関係はちょっと薄い気もするのだが、最後に元妻が去って行く様子を見たイワンがヴィクターに「もういい」と言うところの精神の変化の描写はなかなか来るものがある。ここでイワンがタオルを投げるのは、彼があきらめを学んで成長したということだ。

 

 ちなみに私はこの映画を見る前に、未見だった『ロッキー』の2からザ・ファイナルまでの5本を3日くらいかけて見たのだが、全体的にロッキーは映画史上の残るよく描けたヒーローではあるのだが、ボクシングのこと以外は何も知らなくてかなり世間知らずであり、この点については全シリーズを通してあまり成長していない。そしてこの作品内でも、いやいやロッキーそれは世間知らずすぎるだろ…というところがある。ロッキーが、赤ちゃんがいるアドニスを家族から引き離し、砂漠の真ん中にあるジムに長時間拘束して訓練するところがあるのだが、息子に出ていかれたのはお前のそういうとこだぞ…と思った。母親で仕事もしているビアンカに大変な迷惑だし(メアリー・アンがいるしシッターも雇えるかもしれないけど)、いい父親になりたいと思っているアドニスの精神にも良くないはずである(練習の合間にスマホで赤ん坊の顔を見るアドニスがかわいそうだ)。アドニスが勝ったからいいようなものの、負けたらたぶんこれ育児ストレスがひどいビアンカが爆発して離婚だと思う。ロッキーは家族関係についてはなかなかのダメ男である。まあ、そこがリアルさを醸し出しているというのはあるのだが。

 

 なお、この映画はベクデル・テストはパスしない。ビアンカとメアリー・アンが話すところはあるが、ほとんどアドニスについてだ。

「ブロードウェイとウェストエンドって何が違うの?」の報告文がアップされました

 WLサイトに「ブロードウェイとウェストエンドって何が違うの?」イベントの報告文がアップされました。
http://theatrum-wl.tumblr.com/post/182525714231/イベント報告-ブロードウェイとウェストエンドって何が違うの20190119

theatrum-wl.tumblr.com

3/9のArt+Feminism Wikipedia Edit-a-thonで執筆支援に入ります

 3/9にベクソンアーツのユミソンさん主催にて東池袋で行われるArt+Feminism Wikipedia Edit-a-thonで執筆支援に入ります。国際女性デー翌日で、女性と芸術がテーマのウィキペディアエディタソンです。ふるってご参加ください。

baexong.net

 3月には他にもエディタソンがあって支援に入ったりしますので、またまとめて告知します。

Art+Feminism Wikipedia Edit-a-thon