ジェンダー

青ひげの創造主と自由意志〜『エクス・マキナ』(ネタバレ多数)

アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』を見た。 ある日突然、社内抽選で社長ネイサン(オスカー・アイザック)の別荘に呼ばれたプログラマーのケイレブ(ドーナル・グリーソン)。社長は天才プログラマーで、世間から隔離された別荘でAIを作っていた。ケ…

抑圧をはねのける生き生きした子どもたち〜『裸足の季節』(ネタバレあり)

デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督の映画『裸足の季節』を見てきた。 舞台はトルコ北部のド田舎の村。両親がおらず、祖母の保護のもとで暮らしている若く美しい五人姉妹は自由にのびのびと育っていたが、娘たちが結婚できそうな年齢になってきて、封建的な…

フェミニズム芸術エディタソンで「女性アーティスト」の項目を日本語版ウィキペディアに作りました

2016 Art+Feminism Wikipedia Edit-a-thonが京都で開催され、私は現地には行けなかったのですが少しお手伝いをしていたので、こちらに遠隔参加して自宅で「女性アーティスト」の項目を作りました。英語版からの翻訳なのですが、20世紀の途中で力尽きたのと、…

画面の全てが女の心を映す〜『キャロル』(ネタバレあり)

トッド・ヘインズ監督の新作『キャロル』を見てきた。原作はパトリシア・ハイスミスの『キャロル』である。とにかくびっくりするくらいよくできている映画だ。 1952年のニューヨークを舞台に、ふたりの女性の恋を描いた映画である。離婚を控えた美しい中年女…

フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための映画5本(2)ノンジャンル

「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための」シリーズだが、以前「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための映画5本(1)歴史映画編」は既に実施したんだけれども、ノンジャンルの映画というリクエストも受けていたの…

messy連載三回目、『バベットの晩餐会』について書きました

messy連載三回目、映画『バベットの晩餐会』について書きました。父の世界からの解放〜「フェミニスト的ユートピア」を描いた『バベットの晩餐会』

もし『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』に続編があったら?

この間、ツイッターで「もし2007年に亡くなった若桑みどり先生が生きていたら『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』の続編があったでしょうねー」という話になった。お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちく…

小田嶋隆「触らぬフェミに祟りなし」を芸術史の観点から批判する

『新潮45』2015年11月号の「言論の不自由」特集に小田嶋隆「触らぬフェミに祟りなし」(pp. 41-46)という記事が寄稿されているのですが、この記事には演劇の研究者(及びフェミニスト)としては見過ごせないレベルの調査不足、あるいは舞台芸術の軽視があると思…

フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(4)歴史編

いつもの「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための5作品」シリーズで、歴史関係のものを…というリクエストがあったので、今日はそれにおこたえしようと思う。 とりあえず、今までのシリーズはこちら。これの続きである。 「フェミニス…

フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための映画5本(1)歴史映画編

さてさて、6月に実施した「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(1)物語・ノンフィクション編」、「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(2)理論・学術・専門書編」、「フェミニストとしてすすめる…

messyにてフェミニスト批評の連載をはじめました

サイゾー系列のウェブメディアmessyにて、本日より月一回、「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」というタイトルの連載をはじめました。映画・テレビドラマ・演劇・本、なんでもとりあげてゆるい感じでフェミニスト批評します。 実はサイゾー系列のメディアに…

歩くフェミニスト〜『わたしに会うまでの1600キロ』

ジャン=マルク・ヴァレ監督、リース・ウィザースプーン主演『わたしに会うまでの1600キロ』を見た。 ヒロインのシェリル(リース・ウィザースプーン)は母ボビー(ローラ・ダーン)の死以来非常に精神不安定になっており、ヘロインとセックスに溺れて夫とも離婚…

女に幻想持ちすぎじゃない?『彼は秘密の女ともだち』(ネタバレあり)

フランソワ・オゾン監督の最新作『彼は秘密の女ともだち』を見てきた。 主人公は親友ローラを失ったクレール(アナイス・ドゥムースティエ)。ショックを受けているクレールは夫ジルにすすめられたこともあり、亡きローラの夫ダヴィッド(ロマン・デュリス)と娘…

ケアと癒やしの壮絶ノンストップアクション〜『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(ネタバレあり)

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を見た。なお、オリジナルのシリーズは一切未見である。 物語は文明が破壊された砂漠が舞台である。ヒロインのフュリオサ(シャーリーズ・セロン)は独裁者でカルトの指導者であるイモータン・ジョーに軍人として仕えて…

フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(3)フェミニスト批評編

一昨日の「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(1)物語・ノンフィクション編」と「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(2)理論・学術・専門書編」に続いて、最後に「フェミニスト批評編」をやろ…

フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(2)理論・学術・専門書編

昨日の「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(1)物語・ノンフィクション編」に続いて、今日は「理論・学術・専門書編」をやろうと思う。一応「理論・学術・専門書編」とは銘打っているのだが、所謂「フェミニズムの本」の中か…

フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(1)物語・ノンフィクション編

最近炎上していたこのまとめがとにかくひどい。「クソフェミ「まずは本を読め!」俺ら「どの本を?」のテンプレに答える本当にフェミニズムが学べる5冊の本」 とりあえずこのまとめのひどさはいくつもあるのだが、 ・タイトルに「クソフェミ」というのが入って…

生き生きと血の通った女たちが見られる映画〜『駆込み女と駆出し男』(少しネタバレあり)

原田眞人監督作『駆込み女と駆出し男』を見てきた。DVで悪名高かった井上ひさし原作ということでなんか偽善的なものを感じてどうも足が向かなかったのだが、皆褒めているので行ってみたところ、とても良かった。 主人公は見習い医者で戯作者志望だが奢侈禁制…

自足する、非歴史的かつクィアな人間〜『プリデスティネーション』(ネタバレあり)

マイケル&ピーター・スピエリッグ監督『プリデスティネーション』を見てきた。ハインラインの「輪廻の蛇」が原作らしいのだが、未読(是非読まなきゃ)。 主人公はバーテンダーのふりをしつつ実は時空警察につとめている男(イーサン・ホーク)と、ひょんなこと…

日本の女子教育の歴史を知る〜横浜開港資料館「ガールズ ビー アンビシャス!〜横浜山手のミッション・スクール〜」

横浜開港資料館平成26年度第4回企画展示「ガールズ ビー アンビシャス!〜横浜山手のミッション・スクール〜」を見てきた。 主に現在の横浜英和、横浜雙葉、フェリス女学院、捜真、共立の前身となったような女子専門ミッションスクールの歴史をいろいろな史…

ヴェールの女子力〜後藤絵美『神のためにまとうヴェール - 現代エジプトの女性とイスラーム 』

後藤絵美『神のためにまとうヴェール - 現代エジプトの女性とイスラーム』(中央公論新社、2014)を読んだ。神のためにまとうヴェール - 現代エジプトの女性とイスラームposted with amazlet at 15.01.25後藤 絵美 中央公論新社 売り上げランキング: 510,963Am…

修論を書く前に読むべきだった〜Marilyn French, Shakespeare's Division of Experience

恥ずかしながらこの年になってはじめてMarilyn French, Shakespeare's Division of Experience (Jonathan Cape, 1982)を読んだ。Shakespeare's Division of Experienceposted with amazlet at 15.01.24Marilyn French Jonathan Cape Ltd Amazon.co.jpで詳細…

日本語版ウィキペディアに「ベクデル・テスト」の記事を立ち上げました

日本語版ウィキペディアに「ベクデル・テスト」の記事を立ち上げました。これはアリソン・ベクデルの1985年のマンガに由来するテストで、映画のジェンダーバイアスをはかる有名なテストです。以下の三項目を満たしている場合、その映画はベクデル・テストを…

21世紀にもなって、男と家庭以外に人生ないの?〜『ゴーン・ガール』(ネタバレあり)

デヴィッド・フィンチャー監督の新作『ゴーン・ガール』を見てきた。一言でまとめてしまうと、かなり積極的につまらなかった… あらすじはいたるところで書かれているしネタバレ注意作であるのであまり詳しくは説明しないが、とりあえずヒロインであるエイミ…

2014年コンテンツ文化史学会

2014年コンテンツ文化史学会のシンポジウム「コンテンツ文化史研究を世界に拓く —ヨーロッパ・アメリカ編」に参加してきた。一応、内容はツダったので下のtogetterにまとめておいた。「2014年コンテンツ文化史学会<シンポジウム>「コンテンツ文化史研究を…

女性名で執筆活動を行った男性作家をリストしてみた

アイルランドの作家、フラン・オブライエンの新訳が出るということなのだが、私、最近友人にすすめられるまでこの作家のことを全く知らず、女性だと思って検索したら(これ、なんかキレイな感じの名前なんで私の隠れた性的偏見が活動してしまってケルト美女を…

「自然観」の何とも言えないうさんくささ〜田中ひかる『生理用品の社会史−タブーから一大ビジネスへ』

田中ひかる『生理用品の社会史−タブーから一大ビジネスへ』(ミネルヴァ書房、2013)を読んだ。生理用品の社会史: タブーから一大ビジネスへposted with amazlet at 14.08.17田中 ひかる ミネルヴァ書房 売り上げランキング: 221,649Amazon.co.jpで詳細を見る …

これはおとぎ話じゃない、レイプ&リベンジアクションだ!〜『マレフィセント』(ネタバレあり)

『マレフィセント』を見てきた。一年に二度もディズニーの映画を金払って見るなんて実に癪に障るのだが、アンジーの魔女姿に抵抗できずついふらふらと… この映画は賛否両論あるようだが、まあ出来としては『アナと雪の女王』のほうがだいぶ良いと思うんだけ…

20世紀UK女子トラブル文化史〜Carol Dyhouse, Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Women(『女子の問題:若い女性の歴史におけるパニックと進歩』)

Carol Dyhouse, Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Women(Zed Books, 2013)[『女子の問題:若い女性の歴史におけるパニックと進歩』]を読んだ。Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Womenposted with amazlet…

アメリカにおける、新しき「女大黒柱」たち〜Liza Mundy, The Richer Sex: How the New Majority of Female Breadwinners Is Transforming Sex, Love and Family

Liza Mundy, The Richer Sex: How the New Majority of Female Breadwinners Is Transforming Sex, Love and Family (New York : Simon & Schuster)[ライザ・マンディ『豊かなほうの性別:いかにして新しく増加する女性の大黒柱がセックス、愛、家族を変容さ…