書評

アンソニー・トロロープ『慈善院長』木下善貞訳(開文社、2010)

ヴィクトリア朝の著名な小説家で、UKではキャノンに組み込まれているが日本では全く人気のないアンソニー・トロロープの『慈善院長』木下善貞訳(開文社、2010)を読んだ。慈善院長posted with amazlet at 15.01.12アンソニー トロロープ 開文社出版 売り上げ…

マークス&スペンサーを着た悪魔と、メイドの攻防〜ロジーナ・ハリソン『おだまり、ローズ−子爵夫人付きメイドの回想』

ロジーナ・ハリソン『おだまり、ローズ−子爵夫人付きメイドの回想』新井雅代訳(白水社、2014)を読んだ。おだまり、ローズ: 子爵夫人付きメイドの回想posted with amazlet at 14.12.25ロジーナ ハリソン 白水社 売り上げランキング: 4,900Amazon.co.jpで詳細…

お菓子をくれなきゃいたずらするのは、アイルランドのジャガイモ飢饉のせいか?〜リサ・モートン『ハロウィーンの文化誌』

リサ・モートン『ハロウィーンの文化誌』大久保庸子訳(原書房、2014)を読んだ。ハロウィーンの文化誌posted with amazlet at 14.10.31リサ モートン 原書房 売り上げランキング: 13,548Amazon.co.jpで詳細を見る 比較的新しい祭りであり、またすごい早さで商…

すばらしい生き方をする、できる限りお近づきになりたくない人々〜エミリー・マッチャー『ハウスワイフ2.0』

エミリー・マッチャー『ハウスワイフ2.0』森嶋マリ訳(文藝春秋、2014)を読んだ。ハウスワイフ2.0posted with amazlet at 14.10.17エミリー マッチャー 文藝春秋 売り上げランキング: 4,683Amazon.co.jpで詳細を見る アメリカにおける、高学歴女性・キャリア…

サイバー・ムジャーヒディーンから少女漫画まで、イスラーム世界のネット事情〜保坂修司『サイバー・イスラーム―越境する公共圏』

保坂修司『サイバー・イスラーム―越境する公共圏』(山川出版社、2014)を読んだ。サイバー・イスラーム―越境する公共圏 (イスラームを知る)posted with amazlet at 14.08.20保坂 修司 山川出版社 売り上げランキング: 526,083Amazon.co.jpで詳細を見る 125ペ…

フェミニズムと英文学〜村岡恵理『アンのゆりかご−村岡花子の生涯』

村岡恵理『アンのゆりかご−村岡花子の生涯』(新潮社、2008)を読んだ。朝ドラの原案ということで文庫本が今すごく売れているらしい。アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)posted with amazlet at 14.08.20村岡 恵理 新潮社 (2011-08-28)売り上げランキン…

タイムリーな増補版、ウィリアム・ブロード&ニコラス・ウェイド『背信の科学者たち−論文捏造はなぜ繰り返されるのか?』

ウィリアム・ブロード&ニコラス・ウェイド『背信の科学者たち−論文捏造はなぜ繰り返されるのか?』(講談社、2014)を読んだ。背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?posted with amazlet at 14.08.17ウイリアム・ブロード ニコラス・ウェイド 講談…

「自然観」の何とも言えないうさんくささ〜田中ひかる『生理用品の社会史−タブーから一大ビジネスへ』

田中ひかる『生理用品の社会史−タブーから一大ビジネスへ』(ミネルヴァ書房、2013)を読んだ。生理用品の社会史: タブーから一大ビジネスへposted with amazlet at 14.08.17田中 ひかる ミネルヴァ書房 売り上げランキング: 221,649Amazon.co.jpで詳細を見る …

Paul Werstine, Early Modern Playhouse Manuscripts and the Editing of Shakespeare

Paul Werstine, Early Modern Playhouse Manuscripts and the Editing of Shakespeare (Cambridge University Press, 2012)を読んだ。Early Modern Playhouse Manuscripts and the Editing of Shakespeareposted with amazlet at 14.07.30Paul Werstine Camb…

『木下知威×伊藤亜紗』

『木下知威×伊藤亜紗』をお送り頂いた。 こちらにあるように、木下さんと伊藤亜紗さんの筆談による対談をまとめたもので、かなり短い。いろいろ面白い話はあるのだが、とくに面白かったのは2-3ページあたりの「背後の音は文化的か否か」みたいな話である(こ…

20世紀UK女子トラブル文化史〜Carol Dyhouse, Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Women(『女子の問題:若い女性の歴史におけるパニックと進歩』)

Carol Dyhouse, Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Women(Zed Books, 2013)[『女子の問題:若い女性の歴史におけるパニックと進歩』]を読んだ。Girl Trouble: Panic and Progress in the History of Young Womenposted with amazlet…

これは図書館泣かせだ〜NATROM『「ニセ医学」に騙されないために−危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!』

NATROM『「ニセ医学」に騙されないために−危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!』(メタモル出版、2014)を読んだ。著者ははてなダイアリーでは有名人であるNATROMさんである。「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身…

モンティ・パイソンの中世文化〜テリー・ジョーンズによるチョーサー研究書、Chaucer's Knight

テリー・ジョーンズによるチョーサー研究書、Chaucer's Knight: The Portrait of a Medieval Mercenary (Methuen, 1980)を読んだ。Chaucer's Knight: The Portrait of a Medieval Mercenary (Methuen Paperback)posted with amazlet at 14.07.17Terry Jones …

アメリカにおける、新しき「女大黒柱」たち〜Liza Mundy, The Richer Sex: How the New Majority of Female Breadwinners Is Transforming Sex, Love and Family

Liza Mundy, The Richer Sex: How the New Majority of Female Breadwinners Is Transforming Sex, Love and Family (New York : Simon & Schuster)[ライザ・マンディ『豊かなほうの性別:いかにして新しく増加する女性の大黒柱がセックス、愛、家族を変容さ…

引きこもりの底力〜ニコラス・フィリップソン『アダム・スミスとその時代』

翻訳チェックを少しだけ手伝った本、ニコラス・フィリップソン『アダム・スミスとその時代』が発行されました。 アダム・スミスとその時代posted with amazlet at 14.06.30ニコラス フィリップソン 白水社 売り上げランキング: 44,333Amazon.co.jpで詳細を見…

面白いところもあるが、眉唾〜ハナ・ロジン『男の終わり、そして女の勃興』(The End of Men: And the Rise of Women)

ハナ・ロジン『男の終わり、そして女の勃興』(Hannah Rosin, The End of Men: And the Rise of Women, Riverhead, 2012)を読んだ。The End of Men: And the Rise of Womenposted with amazlet at 14.06.18Hanna Rosin Riverhead Hardcover 売り上げランキン…

絶世の美女がフェミニストになる時〜『パーディタ:メアリ・ロビンソンの生涯』

「情事の終わりが彼女をフェミニストにした」(ポーラ・バーン『パーディタ:メアリ・ロビンソンの生涯』、p. 480) ポーラ・バーン『パーディタ:メアリ・ロビンソンの生涯』桑子利男他訳(作品者、2012)を読んだ。パーディタ――メアリ・ロビンソンの生涯posted…

ルネサンスのマインドパレス〜『知のミクロコスモス: 中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』

先週の科学史学会に行く前に準備としてようやくヒロ・ヒライ、小澤実編『知のミクロコスモス: 中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』(中央公論社、2014)を読んだので、メモを簡単に。知のミクロコスモス: 中世・ルネサンスのインテレクチュア…

ポッシュなUKを日本に呼んでくる〜桑原渉『阪急英国フェアの舞台裏』

桑原渉『阪急英国フェアの舞台裏』(株式会社R.S.V.P.、2013)を読んだ。阪急 英国フェアの舞台裏posted with amazlet at 14.05.26桑原 渉 株式会社R.S.V.P. 売り上げランキング: 616,696Amazon.co.jpで詳細を見る 梅田の阪急デパートで毎年実施している英国フ…

フォリオ・ハンターの生態〜エリック・ラスムッセン『シェイクスピアを追え!――消えたファースト・フォリオ本の行方』

エリック・ラスムッセン『シェイクスピアを追え!――消えたファースト・フォリオ本の行方』安達まみ訳(岩波書店、2014)を読んだ。シェイクスピアを追え!――消えたファースト・フォリオ本の行方posted with amazlet at 14.04.25エリック・ラスムッセン 岩波書店 …

これが文理融合ですよ〜『ギークマム:21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』

急に寒くなったもんでちょっと風邪気味で、少し家で養生してたので、その間に楽しそうな軽い本を…と思ってナタニア・バロン他『ギークマム:21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』堀越英美、星野靖子訳(オライリー・ジャパン、2013)を読んだ…

手頃な書物史入門書〜Leslie Howsam, Old Books And New Histories: An Orientation to Studies in Book And Print Culture

Leslie Howsam, Old Books And New Histories: An Orientation to Studies in Book And Print Culture (University of Toronto, 2006)を読んだ。Old Books And New Histories: An Orientation to Studies in Book And Print Cultureposted with amazlet at 1…

犬に関する積もり積もった偏見〜ジョン・ブラッドショー『犬はあなたをこう見ている:最新の動物行動学でわかる犬の心理』

ジョン・ブラッドショー『犬はあなたをこう見ている:最新の動物行動学でわかる犬の心理』西田美緒子訳(河出書房新社、2012)を読んだ。犬はあなたをこう見ている ---最新の動物行動学でわかる犬の心理posted with amazlet at 14.03.26ジョン ブラッドショー …

労組から電車男まで〜『日本人の「男らしさ」:サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う』

サビーネ・フリューシュトゥック他『日本人の「男らしさ」:サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う』長野ひろ子監訳(明石書店、2013)を読んだ。日本人の「男らしさ」 -サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う-posted with amazlet at 14.03…

ニュースを読むのに役立つけど、まあ男性向け〜『教科書に載ってないUSA語録』

町山智浩『教科書に載ってないUSA語録』(文藝春秋、2012)を読んだ。教科書に載ってないUSA語録posted with amazlet at 14.03.18町山 智浩 文藝春秋 売り上げランキング: 145,464Amazon.co.jpで詳細を見る 雑誌連載されていたアメリカの時事ネタコラムを集め…

美術品泥棒の虚と実〜サンディ・ネアン『美術品はなぜ盗まれるのか:ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い』

サンディ・ネアン『美術品はなぜ盗まれるのか: ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い』中山ゆかり訳(白水社、2013)を読んだ。美術品はなぜ盗まれるのか: ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘いposted with amazlet at 14.03.18サンディ ネアン 白水社 …

お笑いと不条理演劇の間で〜大見崇晴『「テレビリアリティ」の時代』

大見崇晴『「テレビリアリティ」の時代』(大和書房、2013)を読んだ。「テレビリアリティ」の時代posted with amazlet at 14.03.09大見 崇晴 大和書房 売り上げランキング: 36,107Amazon.co.jpで詳細を見る 日本のテレビバラエティ番組の歴史をリアリティとい…

日本からアメリカへ旅する本たち〜『書物の日米関係―リテラシー史に向けて』

和田敦彦『書物の日米関係―リテラシー史に向けて』(新曜社、2007)を読んだ。書物の日米関係―リテラシー史に向けてposted with amazlet at 14.03.09和田 敦彦 新曜社 売り上げランキング: 908,375Amazon.co.jpで詳細を見る 戦前から戦後くらいまで、日本から…

『デジタル人文学―検索から思索へとむかうために』&『デジタル人文学のすすめ』〜前者より後者が断然おすすめ

楊暁捷編『デジタル人文学のすすめ』(勉誠出版、2013)、を読んだので、少し前に読んだ小野俊太郎『デジタル人文学 検索から思索へとむかうために』(松柏社、2013)と一緒に紹介。 デジタル人文学のすすめposted with amazlet at 14.01.21勉誠出版 売り上げラ…

興味深いが、物足りないところも〜『n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性』

岡本健『n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性』(NPO法人北海道冒険芸術出版、2013)を読んだ。n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性posted with amazlet at 14.01.21岡本 健 NPO法人北海道冒…