芝居

アマゾン族の崩壊~劇団ワンツーワークス『男女逆転<マクベス>』

劇団ワンツーワークス『男女逆転<マクベス>』を見てきた。男女の役をほとんど全部入れ替えるというもので、原作で男性の設定の役は女性に、女性の設定の役は男性になる。つまりマクベスが女性という設定になり、マクベスの配偶者がマクベス夫人ならぬ夫君に…

政治よりも愛が高貴~NTライヴ『アントニーとクレオパトラ』

NTライヴで『アントニーとクレオパトラ』を見てきた。サイモン・ゴドウィン演出、レイフ・ファインズがアントニー役、ソフィ・オコネドーがクレオパトラ役である。 www.youtube.com セットは現代風で、主にローマがオフィス、エジプトは真ん中にプールのある…

とにかく好みでなくてつまらない~新国立劇場『オレステイア』(ネタバレ)

新国立劇場でロバート・アイク版『オレステイア』を見てきた。とにかくつまらなくて、何から何まで趣味でない芝居だった。同じタイムラインを扱った大作劇としては、いろいろ問題もあったにせよ、『エレクトラ』のほうがだいぶマシだったと思う。こういうの…

女性の内面と信仰を深く掘り下げた力作~METライブビューイング『カルメル会修道女の対話』(ネタバレあり)

METライブビューイング『カルメル会修道女の対話』を見てきた。プーランクのオペラで、今回初めて見たのだが、凄い作品で、ここ数ヶ月で見た舞台の中でも抜群に面白かった。 www.shochiku.co.jp フランス革命の際、コンピエーニュでカルメル会修道女が殉教し…

MIDWEEK BURLESQUE vol.70 -Dazzlin' Drizzle-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.70 -Dazzlin' Drizzle-」を見てきた。前半はMargalet Igorroomの妙に引きずるアンパンマンネタのショー、衣装がかわいいKatieのショーに引き続き、バーレスクではない全力!歌劇団が突然のアイドル歌謡ショーをはじめてちょっとびっ…

狂気の時のほうが、人間~NTライヴ『英国万歳!』

NTライヴで『英国万歳!』を見てきた。アラン・ベネットの有名戯曲で、アダム・ペンフォード演出のノッティンガム・プレイハウスでの公演を収録したものだ。 www.youtube.com 実はこれはロンドンで一度見たことがあるのだが、戯曲の構成としてはけっこうゆる…

やわらかい布~KAAT『恐るべき子供たち』

KAATで『恐るべき子供たち』を見てきた。ジャン・コクトーの小説の舞台化で、白井晃演出である。 あらすじはだいたい原作どおりで、2人だけの世界を持っているエリザベート(南沢奈央)とポール(柾木玲弥)の姉弟と、その友人で同居することになるジェラール(松…

リアリズムは要らない~ドン・キホーテプロジェクト『リア王』

綾瀬のKISYURYURI THEATERでドン・キホーテプロジェクト『リア王』を見てきた。珍しく招待で見た。 king-lear-donquijote.themedia.jp 工場の建物を再利用した劇場で、ほとんど何もない部屋でやる『リア王』である。窓から自然光をとっているのだが、終盤は…

貴種流離ハムレット~劇団四季『ライオン・キング』

劇団四季『ライオン・キング』をはじめて見てきた。 www.shiki.jp お話はまあだいたいアニメ映画と同じである(こちらは見たことがある)。父であるライオンの王ムファサの死をきっかけに領地を離れた若きライオンの王子シンバが、王位を取り戻すため王国に戻…

ささくれだった東京のハムレット~カクシンハンリーディング『ハムレット×SHIBUYA ~ヒカリよ、俺たちの復讐は穢れたか~』

渋谷でカクシンハンリーディング『ハムレット×SHIBUYA ~ヒカリよ、俺たちの復讐は穢れたか~』を見てきた。これを見たのは初めてである。 話はあまり直線的に進まないのだが、おおまかにはアキハバラとシブヤという現代の青年を中心に、渋谷のスクランブル交…

とても野心的だが、好きかというと…劇団AUN Age.1『オセロー』

浅草九劇で長谷川志演出、劇団AUN Age.1『オセロー』を見てきた。 ほぼ何もないブラックボックスみたいな舞台にかなりカットを少なくした台本で(全くカットがないというわけではないが)、台詞をきちんと聞かせる上演である。キプロス上陸後の台詞などはカッ…

プロローグ部分がなかなか面白い~ITCL『真夏の夜の夢』(演出ネタバレあり)

学生を引率し、成城大学でインターナショナル・シアター・カンパニー・ロンドン『真夏の夜の夢』を見てきた。毎年来日し、英語でシェイクスピアを上演している劇団である。シンプルなセットを使い、少人数でいろいろな役をとっかえひっかえやるのが特徴のカ…

サイモン・ゴドウィン演出『ハムレット』(ネタバレあり、メモ)

文化村シアターコクーンでサイモン・ゴドウィン演出『ハムレット』を見てきた。これは劇評を書くかもしれないので、要点をメモだけ。 ・真ん中に監視塔があり、回転するセットを使っている。デザインは北欧がモチーフらしいが、来ている衣服や小道具などのせ…

それ、ズルくない?~『Wild』(ネタバレあり)

マイク・バートレットの戯曲『Wild』日本上演を見てきた。東京グローブ座での上演で、演出は小川絵梨子である。エドワード・スノーデンによるアメリカ政府告発にヒントを得た作品だ。 舞台はモスクワのどこかにあるホテルの一室である。アメリカ政府が行って…

昔のミュージカル映画みたい~松竹ブロードウェイシネマ『シー・ラヴズ・ミー』(ネタバレあり)

松竹ブロードウェイシネマ『シー・ラヴズ・ミー』を見てきた。2016年の上演を撮影して映画館で上映するというものである。METライブビューイングのブロードウェイ版、NTライヴのアメリカ版とでもいったところだろうか。 原作はミクローシュ・ラースローの『…

MIDWEEK BURLESQUE vol.69 -Reiwa248-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.69 -Reiwa248-」に行ってきた…のだが、休日で開始時間が1時間早いのに気付かず、21時に行ったら第1部が終わっていて後半しか見られなかった… 第2部の1本目のYUTAROは料理人のショーだったのだが、私が以前見た時に「せっかくフライ…

困ったオタク大集合~新国立劇場『かもめ』

新国立劇場で鈴木裕美演出、チェーホフ『かもめ』を見てきた。トム・ストッパードによる英語台本を小川絵梨子が翻訳したものである。キャストは全てオーディションで決めたそうだ。 www.nntt.jac.go.jp 緑の芝生で行う野外上演やお屋敷など、セットはわりと…

前見た上演よりも難しかった気がする~『良い子はみんなご褒美がもらえる』

『良い子はみんなご褒美がもらえる』を見てきた。トム・ストッパードの戯曲で、ウィル・タケットが演出である。 一度ナショナル・シアターで見たことがあるのであらすじはそちらを参照してほしいのだが、基本的にはソビエトとおぼしき独裁国家で政治犯のアレ…

最高のバケモノ~NTライヴ、イアン・マッケラン主演『リア王』

NTライヴでジョナサン・マンビー演出、イアン・マッケラン演出の『リア王』を見てきた。 www.ntlive.jp 演出は現代的だが、美術や衣装などは完全に21世紀というわけではなく、ちょっとマッケラン版『リチャード三世』を思わせるような戦前風のところもある。…

女優陣は頑張ってるが、台本のカットがひどい~SKE48版『ハムレット』(ネタバレあり)

SKE48版『ハムレット』を見てきた。SKEについては全く知らないのだが、『SKEBINGO!~ガチでお芝居やらせて頂きます!』という番組の企画らしい。舞台はデンマークではなくSKEの地元の名古屋で、敵国はノルウェーではなく岐阜である。 www.nelke.co.jp 女優…

人間の小ささ~『フィレンツェの悲劇』/『ジャンニ・スキッキ』

新国立劇場で『フィレンツェの悲劇』/『ジャンニ・スキッキ』二本立てを見てきた。フィレンツェを舞台にした1時間くらいのオペラ2本をまとめてやるものである。 www.nntt.jac.go.jp お目当てはオスカー・ワイルドが原作の『フィレンツェの悲劇』だったのだが…

京劇風味のシェイクスピア~中国国家話劇院『リチャード三世』

東京芸術劇場で王暁鷹演出、中国国家話劇院『リチャード三世』を見てきた。 衣装もセットも中国の時代劇風である。セットは後ろに漢字が書かれた白っぽい幕がかかったもので、この幕は人が死ぬたびにどんどん血の筋が増えていく。打楽器の生演奏もある。女優…

MIDWEEK BURLESQUE vol.68 -The Enchanted April-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.68 -The Enchanted April-」に行ってきた。出演者はMECAV、Baby Le Strange、Fifi Gfrast、RINGO☆凛子、Chloe the Sweetheart、Violet Eva、虹だった。Chloe the Sweetheartのマリリン・モンロー風のショー、Fifi Gfrastのミスコン…

布団が吹っ飛ぶ状況における翻訳の難しさ~『歓喜の歌』

ラビア・ムルエ『歓喜の歌』を見てきた。ムルエの芝居を見るのはものすごく久しぶりである。 theatercommons.tokyo 内容はミュンヘンオリンピックでのイスラエル選手人質事件を題材にしたもので、もともとはミュンヘンで上演したもうちょっと演劇的な内容の…

エネルギッシュで見映えのする演出~オペラ『金閣寺』

東京文化会館で宮本亜門演出のオペラ『金閣寺』を見てきた。三島由紀夫の小説が原作だが、クラウス・H・ヘンネベルクによる台本はドイツ語である。 www.nikikai.net 話は小説にそっており、主人公である溝口がコンプレックスを抱え、いろいろと美に関する不…

純粋と悲惨~『LULU』

運良く招待して頂くことができ、赤坂レッドシアターでunratoの『LULU』を見てきた。小山ゆうな演出で、原作はフランク・ヴェーデキントの『地霊』と『パンドラの箱』(ルル二部作)である。この2作をあわせると大変長いのだが、テクストはかなり上手にカットし…

すごくよくできた上演だが、好みではない~『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』

NTライヴでエドワード・オールビー作、ジェームズ・マクドナルド演出『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』を見てきた。 www.ntlive.jp 舞台は60年代初め頃のニューイングランドの大学町。大学教授のジョージ(コンレス・ヒル)と妻マーサ(イメルダ・スト…

とてもリアルなのに、ファンタジー~『エーデルワイス』

ペヤンヌマキ脚本・演出、ブス会『エーデルワイス』を東京芸術劇場で見てきた。 ヒロインはスランプ気味の中年の漫画家、アキナ(鈴木砂羽)である。アキナの現在の物語と、彼女の代表作『たたかえ!いばら姫』のヒロインで、おそらく若い頃のアキナの分身と思…

MIDWEEK BURLESQUE vol.67 -Spring Awakening-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.67 -Spring Awakening-」を見てきた。前半はAimeeが青い衣装に桜の花をあわせた「純情花吹雪」のショーと、生サックスつきで白い衣装のベリーダンスみたいなGynous Derringerだった。後半はなんと三味線の名取である与つ葉のお座敷…

閉塞空間での恋の狂気~うずめ劇場『フェードル』

東京アートミュージアムでペーター・ゲスナー演出、うずめ劇場『フェードル』を見てきた。言わずと知れたラシーヌの有名作で、美術館の階段の踊り場と廊下みたいな狭いコンクリートスペースでの上演である。 最初はこんな狭いところで大丈夫かと思ったが、上…