芝居

コンセプトと商機~『マジック・マイク・ライヴ』

ヒッポドローム・カジノで『マジック・マイク・ライヴ』を見てきた。『マジック・マイク』のチャニング・テイタムがプロデュースしているショーで、まずはラスヴェガスで初演し、それをロンドンに持ってきたものである。チャニング・テイタム自身が出るわけ…

私は全く好みではなかった~オープンエア劇場『エビータ』

リージェンツパークの夏の風物詩、オープンエア劇場でジェイミー・ロイド演出の『エビータ』を見てきた。 openairtheatre.com 野外上演ということで、屋根のあるウェストエンドの大きな劇場で上演されるミュージカルとは全く違う演出を採用している。階段状…

超カラフルで客いじりも激しい上演~グローブ座『夏の夜の夢』

グローブ座でショーン・ホームズ演出『夏の夜の夢』を見てきた。 www.shakespearesglobe.com 今年グローブ座で見た他の上演同様、ジェンダーや人種は固定しないキャスティングである。ボトムが女優で(Jocelyn Jee Esien、ただし男という設定)、ヒポリタ/ティ…

とても面白かったが、手話を導入する場合の劇場の構造について考えさせられた~グローブ座『お気に召すまま』

グローブ座でフェデリー・ホームズとエル・ホワイト演出の『お気に召すまま』を見てきた。2018年の上演の再演である。 www.shakespearesglobe.com シンプルなセットとやや現代風な衣装を使った上演だが、ポイントはキャスティングである。クロスジェンダーキ…

20年代の建物で行われる楽しいバーレスクイベント~House of Burlesque Summer Speakeasy @Grace Hall

グレイス・ホールでHouse of Burlesque Summer Speakeasyを見てきた。テンペスト・ローズが率いるハウス・オブ・バーレスクが主催しており、週末に開催される「スピークイージー」(禁酒法時代のもぐり酒場)風イベントである。会場のグレイス・ホールは1920年…

ヘンリー八世の6人の妻達がガールズグループになるミュージカル、Six (ネタバレあり)

アーツ劇場でSixを見てきた。ヘンリー八世の6人の妻達、つまりキャサリン・オブ・アラゴン、アン・ブーリン、ジェーン・シーモア、アン・オブ・クレーブズ、キャサリン・ハワード、キャサリン・パーがガールズグループに扮してリードヴォーカルの座を競いあ…

結末は人に言わないでください~アガサ・クリスティ『ねずみとり』

セント・マーティンズ劇場で初めてアガサ・クリスティの『ねずみとり』を見てきた。本当は『ユリイカ』に『ヘイトフル・エイト』論を書く前に見たかったのだが(『ヘイトフル・エイト』はクリスティ的な作品でとくに『ねずみとり』に似てる)、まあ間に合わな…

ホンモノの法廷みたいなホールで行われるリアルな上演~『検察側の証人』(ネタバレ注意)

アガサ・クリスティの『検察側の証人』を見てきた。これは次の学期に三田のクラスで読むことになっているので、楽しみにしていたものだ。 www.witnesscountyhall.com もとは短編小説なのだが、戯曲は本格的な法廷ものになっている。貧しい若者レナードが知り…

プロコフィエフからロマンティックを引くと…マシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』(ネタバレあり)

サドラ-ズ・ウェルズ劇場でマシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』を見てきた。完全な新演出である。 new-adventures.net プロコフィエフの音楽を使っているが、設定は相当変わっている。近未来の全体主義的な管理教育を行う寄宿学校を舞台に、監視員…

恋するときめきオーベロン~ブリッジ劇場『夏の夜の夢』

ブリッジ劇場でニコラス・ハイトナー演出『夏の夜の夢』を見てきた。ブリッジ劇場で生で芝居を見るのは初めてである。NTライヴでやった『ジュリアス・シーザー』同様いわゆる没入型(immersive)なプロダクションで、平土間で観客を巻き込みつつ、舞台を動かし…

とてもよくできているが、日曜夜に見る演目ではなかった…Stripped(ネタバレあり)

キングズヘッド劇場でVoldemort and the Teenage Hogwarts Musical Parodyに続いてStrippedという短編を見た。2人しか出てこない一時間くらいの作品で、女性アーティストのオリーの男性ヌードモデル募集にオリーという男が募集してきて、スタジオをオリーが…

ヴォルデモートとドタバタホグワーツ~Voldemort and the Teenage Hogwarts Musical Parody

キングズヘッド劇場でVoldemort and the Teenage Hogwarts Musical Parody(「ヴォルデモートと十代のホグワーツミュージカルパロディ」)を見てきた。非常に変なタイトルだが、エディンバラフリンジで受けた演目だそうで、その名のとおり『ハリー・ポッター』…

ハルもフォルスタッフもホットスパーも女優~グローブ座『ヘンリー四世第一部』

グローブ座で『ヘンリー四世第一部』を見てきた。フェデリー・ホームズとセイラ・バディが演出で、「ホットスパー」という副題がついたプロダクションだ。ハルもフォルスタッフもホットスパーも女優が演じるというものである。 なお、第二部はちょっと日程的…

あわれピカチュウ~サム・ワナメイカー劇場『バーソロミュー・フェア』

サム・ワナメイカー劇場でベン・ジョンソンの『バーソロミュー・フェア』(『浮かれ縁日』というタイトルで翻訳も出てる戯曲)を見てきた。あまり上演されないロンドンが舞台の都市喜劇で、ブランチ・マッキンタイア演出である。ブラックフライアーズ座を模し…

政治BL劇~『ハミルトン』

ロンドンで『ハミルトン』を見てきた。リン=マニュエル・ミランダが作ってブロードウェイで大ヒットしたラップオペラ(ミュージカルと言いづらい構成をしている)をイギリスに持ってきたものである。アメリカ建国の父のひとりであるアレクサンダー・ハミルト…

真面目なノラ、色気のあるトルヴァル~『人形の家Part 2』

ルーカス・ナスの戯曲『人形の家Part 2』を見てきた。これは事前に戯曲を読んで解説記事を書いたので、招待で行ってきた。 stage.parco.jp 解説記事で書いたように、これはイプセン『人形の家』の15年後を書いたものである。ノラ(永作博美)が離婚のために戻…

MIDWEEK BURLESQUE vol.72 -Sugar, Spice, and Something Explosive-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.72 -Sugar, Spice, and Something Explosive-」を見てきた。見てきた、というか、なんとイベントタイトルが私の新刊『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』と一緒(新刊に主催のエヴァさんの写真が使われている)なので、新刊を持って行…

演出は悪くはないが、翻訳台本がちょっと~『お気に召すまま』(ネタバレあり)

東京芸術劇場で熊林弘高演出『お気に召すまま』を見てきた。ロザリンドが満島ひかり、シーリアが中嶋朋子、オーランドが坂口健太郎、オリバーが満島真之介、タッチストーンが温水洋一という大変な豪華キャストである。 非常にエロティックで混沌としており、…

相変わらず宣伝が…松竹ブロードウェイシネマ『ロミオとジュリエット』

真 松竹ブロードウェイ『ロミオとジュリエット』を見てきた。これは2013年にデヴィッド・ルヴォー演出でブロードウェイで上演された公演を撮影したもので、ロミオ役がオーランド・ブルーム、ジュリエット役がコンドラ・ラシャドである。 グラフィティが書か…

オリエンタリズム風味はあるが、イヤな感じがしないようアップデート~『王様と私』

東急シアターオーブで『王様と私』を見てきた。ロジャース&ハマースタインの有名作で、バートレット・シャー演出、ケリー・オハラ、渡辺謙主演のブロードウェイ公演を日本に持ってきたものである。タイの王室で家庭教師をしていた歴史上の人物であるアンナ・…

『ビリー・エリオット』のダーサイド~『アレルヤ!』

ナショナル・シアター・ライヴでアラン・ベネットの新作『アレルヤ!』を見てきた。ニコラス・ハイトナー演出で、ブリッジ・シアターで上演されたものである。 www.ntlive.jp 舞台は閉鎖の危機に揺れるヨークシャーのベツレヘム病院老人科である。元炭鉱夫の…

マシュー・ボーン『白鳥の湖~スワン・レイク~』

マシュー・ボーン『白鳥の湖~スワン・レイク~』を見てきた。もう何度か見た演目だが、何度見ても面白い。演出が変わっているところがいくつかあり、とくにバーの場面は以前見た時はもう少し派手だったように思う(プログラムにもバーの場面の変更については…

表象文化論学会第14回大会、パフォーマンス「ARICA Presents『終わるときがきた』──ベケット『ロッカバイ』再訪」

京大で開催された表象文化論学会第14回大会1日目に行ってきた。企画委員長なので(?)ちゃんと実況してまとめた。 togetter.com 表象文化論学会の大会ではパフォーマンスが上演されることになっているのだが、今回はなんと開催校からのコミッションでARICAに作…

小部屋に出没する亡霊たち~しあわせ学級崩壊『ハムレット』

しあわせ学級崩壊『ハムレット』を見てきた。構成は去年の『ロミオとジュリエット』同様、音楽スタジオの小部屋で大音量の音楽にあわせて、シンプルな衣装を着た役者がかなり刈り込んだ『ハムレット』(1時間くらい)を上演する、というかポエトリーリーディン…

レインボーのスカーフ~文学座『ガラスの動物園』

高橋正徳演出、文学座『ガラスの動物園』を見てきた。言わずと知れたテネシー・ウィリアムズの有名作である。戯曲はかなり前に読んだことあるが、舞台で見たのは初めてだった。 舞台は1930年代くらいのセントルイスである。夫に出て行かれたアマンダ(塩田朋…

アマゾン族の崩壊~劇団ワンツーワークス『男女逆転<マクベス>』

劇団ワンツーワークス『男女逆転<マクベス>』を見てきた。男女の役をほとんど全部入れ替えるというもので、原作で男性の設定の役は女性に、女性の設定の役は男性になる。つまりマクベスが女性という設定になり、マクベスの配偶者がマクベス夫人ならぬ夫君に…

政治よりも愛が高貴~NTライヴ『アントニーとクレオパトラ』

NTライヴで『アントニーとクレオパトラ』を見てきた。サイモン・ゴドウィン演出、レイフ・ファインズがアントニー役、ソフィ・オコネドーがクレオパトラ役である。 www.youtube.com セットは現代風で、主にローマがオフィス、エジプトは真ん中にプールのある…

とにかく好みでなくてつまらない~新国立劇場『オレステイア』(ネタバレ)

新国立劇場でロバート・アイク版『オレステイア』を見てきた。とにかくつまらなくて、何から何まで趣味でない芝居だった。同じタイムラインを扱った大作劇としては、いろいろ問題もあったにせよ、『エレクトラ』のほうがだいぶマシだったと思う。こういうの…

女性の内面と信仰を深く掘り下げた力作~METライブビューイング『カルメル会修道女の対話』(ネタバレあり)

METライブビューイング『カルメル会修道女の対話』を見てきた。プーランクのオペラで、今回初めて見たのだが、凄い作品で、ここ数ヶ月で見た舞台の中でも抜群に面白かった。 www.shochiku.co.jp フランス革命の際、コンピエーニュでカルメル会修道女が殉教し…

MIDWEEK BURLESQUE vol.70 -Dazzlin' Drizzle-

「MIDWEEK BURLESQUE vol.70 -Dazzlin' Drizzle-」を見てきた。前半はMargalet Igorroomの妙に引きずるアンパンマンネタのショー、衣装がかわいいKatieのショーに引き続き、バーレスクではない全力!歌劇団が突然のアイドル歌謡ショーをはじめてちょっとびっ…