芝居

美術とヒロインがとても良かった~メトロポリタンオペラ『トスカ』(配信)

メトロポリタンオペラ『トスカ』を配信で見た。2018年に上演されたものである。演出はデイヴィッド・マクヴィカー、指揮はエマニュエル・ヴィヨームである。 www.metopera.org 舞台は1800年のローマで、ナポレオンや共和主義の嵐が吹き荒れ、既成の体制と対…

すごくマスクっぽい再構成~ギリシャ国立オペラ『妖精の女王』(配信)

ギリシャ国立オペラ『妖精の女王』を配信で見た。英語上演で、ギリシャ語と英語の字幕がつく。2018年に上演されたものである。 www.youtube.com ヘンリー・パーセルの有名作で、本来はシェイクスピア『夏の夜の夢』の劇伴音楽的なものである。しかしながらこ…

たくさん面白いところがあるが、個人的に苦手なところも~シャウビューネ『オーランド』(配信)

シャウビューネ『オーランド』を配信で見た。以前に東京芸術劇場で見たサラ・ルールのバージョンとは別のもので、アリス・バーチ翻案、ケイティ・ミッチェル演出のものである。ベルリンのシャウビューネなのでもちろんドイツ語で、英語字幕がつく。2019年に…

夢と眠りの世界~エクサンプロヴァンス音楽祭、ブリテン『夏の夜の夢』(配信)

エクサンプロヴァンス音楽祭で2005年に上演されたベンジャミン・ブリテン『夏の夜の夢』を見た。ロバート・カーセンが演出、大野和士が指揮である。1991-1992年の演出で好評だったプロダクションを再演したものだそうだ。感染症がおさまれば大野和士が芸術監…

前半はいいが、全体のバランスが…チーク・バイ・ジョウル『冬物語』(配信)

チーク・バイ・ジョウル『冬物語』を見た。2017年にバービカンで上演されたもので、4/27まで見られる。 www.youtube.com 現代風のわりとシンプルなセットに現代の衣装を使った演出である。かなりモダナイズしており、パーディタの家族が宮廷に行こうとすると…

凝ったセットと設定のプロダクション~メトロポリタンオペラ『ばらの騎士』(配信)

メトロポリタンオペラの配信で『ばらの騎士』を見た。先日見たウィーンのものは字幕がなくてよくわからないところもあったのだが、これは英語字幕がついているバージョンである。 www.metopera.org 時代設定はそこまで変えていないと思うのだが、演出はわり…

プロジェクションの背景は凄いが…新国立劇場『魔笛』(配信)

新国立劇場巣ごもりシアター『魔笛』を見た。現代アーティストでアニメーターのウィリアム・ケントリッジ演出によるものである。 www.nntt.jac.go.jp アニメーターが演出家ということで、絵が動くみたいなプロジェクションを大量に使ったプロダクションだ。…

笑えてショッキングで政治的な北アイルランドの芝居~ロイヤル・コート劇場、Cypress Avenue (配信)

ロイヤル・コート劇場のCypress Avenue配信を見た。北アイルランドの劇作家デイヴィッド・アイルランドによる作品で、ヴィッキー・フェザーストーン演出、主演はスターのスティーヴン・レイである。1時間35分くらいで英語字幕がつく。 www.youtube.com 主人…

とんでもなく深刻な悲劇~新国立劇場『トゥーランドット』(配信)

新国立劇場の配信『トゥーランドット』を見た。アレックス・オリエ演出のものである。この演目は初めて見た。 www.nntt.jac.go.jp 舞台は中国…なのだが、セットデザインは斜めに配置した階段をたくさん使ったモダンなもので、社会主義下の東欧とか、『メトロ…

人間味あふれるプロダクション~グローブ座『ハムレット』(2018、配信)

グローブ座『ハムレット』(2018)を配信で見た。エル・ホワイトとフェデリー・ホームズが演出で、ハムレット役はグローブ座芸術監督であるミシェル・テリーである。 www.youtube.com ジェンダーにこだわらないキャスティングで、ハムレット、ホレイシオ、ギル…

ボディタッチの親密と不快~ウィーン国立歌劇場『薔薇の騎士』(配信)

配信でウィーン国立歌劇場『薔薇の騎士』を見た。1994年にカルロス・クライバーが指揮をつとめたものである(たぶんDVDが出ているのと同じものではないかと思う)。一切字幕がないのでそこはちょっとつらい。この演目は以前に一度、ロンドンで見たことがある。…

シンプルで現代的な上演~ナショナル・シアター『ジェーン・エア』(配信)

ナショナル・シアター・ライヴがナショナル・シアター・アット・ホームとしてウェブ配信している『ジェーン・エア』を見た。 www.youtube.com 木枠みたいな2段になっているシンプルなセットがあるだけで、衣装も簡素なもので、ヴィクトリア朝風のお屋敷など…

短く、わかりやすく、楽しい人形劇~『どこいったん』(I Want My Hat Back、配信)

ジョン・クラッセンのベストセラー絵本『どこいったん』(I Want My Hat Back)の人形劇化であるリトル・エンジェル・シアター『どこいったん』を見た。8分くらいの短編である。 www.youtube.com これはナショナル・シアターで実写でも舞台化されている作品で…

パワフルで親密感のある演出~メトロポリタンオペラ『ドン・パスクワーレ』(配信)

無料配信でメトロポリタンオペラ『ドン・パスクワーレ』を見た。これは2010年の上演をMETライブビューイング用に撮影したものの無料限定公開である。ドニゼッティによるイタリア語のオペラで、英語字幕がつく。 www.youtube.com この演目は去年1度新国立で見…

革命指導者ジーザスと融通の利かないジューダス~『ジーザス・クライスト・スーパースター』(配信)

アンドルー・ロイド・ウェバーがYouTubeで週末に配信した『ジーザス・クライスト・スーパースター』を見た。これは2012年、オーディション番組でジーザス役に選ばれたベン・フォスターを主演に、ジューダス(ユダ)がティム・ミンチン、メアリ(マグダラのマリ…

原作準拠のわかりやすいミュージカル~『高慢と偏見』(配信)

今日から新型コロナウイルスで劇場が閉鎖された代替として配信されている芝居をレビューしようと思う。第一弾はミュージカル『高慢と偏見』にする。 www.youtube.com これは言わずと知れたジェーン・オースティン原作の古典の翻案で、ポール・ゴードンにより…

『悲劇喜劇』5月号に「「エンドゲーム現象」は続くのか?ー二〇一九年の翻訳劇」を寄稿しました

『悲劇喜劇』5月号に、2019年の翻訳劇の簡単な傾向まとめエッセイを寄稿しました。『エンドゲーム』が出てきてますが、ベケットじゃなくアベンジャーズのほうです。 北村紗衣「「エンドゲーム現象」は続くのか?ー二〇一九年の翻訳劇」『悲劇喜劇』2020年5月…

ベスはどんな女なのか?~METライブビューイング『ポーギーとベス』

METライブビューイング『ポーギーとベス』を見てきた。 www.youtube.com 『ポーギーとベス』は一度イギリスで見たことがあるのだが、前回見た時は南アフリカの明らかにアパルトヘイトを意識したプロダクションである一方、わりと笑うところが多かったのだが…

珍しい演出あり~言葉のアリア『オセロー』(ネタバレあり)

八幡山ワーサルシアターで言葉のアリア『オセロー』を見てきた。佐々木雄太郎演出・構成によるもので、劇団としては第2回公演らしい。現代風の衣装で、真ん中に白い台があるシンプルなセットで上演するものである。 このプロダクションの特徴はオセローを女…

水!手洗い!~『マクベスの悲劇』

俳優座で『マクベスの悲劇』を見てきた。 haiyuza.net 新しい台本を使い、あまりカットなしでやるというものである。完全ノーカットというわけではなく(付け足しと考えられているヘカテの場面などはない)、また最初にマクベス夫妻の強い愛情を示すべく、台本…

ハリウッドの中年女性差別~『サンセット大通り』

ミュージカル『サンセット大通り』を見てきた。ビリー・ワイルダーの有名映画をアンドルー・ロイド=ウェバーがミュージカル化したものである。私が見た回はノーマが安蘭けい、ジョーが松下優也だった。 horipro-stage.jp 話はほぼ映画と同じで、売れない脚…

ツボをおさえたロマンティックコメディ~本多劇場『十二夜』

本多劇場で青木豪演出、オールメール『十二夜』を見てきた。 12th-night.westage.jp 美術などの方針としては以前から青木豪がやっているDステのオールメールシェイクスピアを踏襲した感じで、真ん中にお社がある一方、衣装などは洋風である。演出も笑いのツ…

言葉の重要性~松竹ブロードウェイシネマ『シラノ・ド・ベルジュラック』

相変わらずろくにちゃんとした公式ウェブサイトも作っておらず、宣伝にやる気のない松竹ブロードウェイシネマの『シラノ・ド・ベルジュラック』を見てきた。デヴィッド・ルヴォー演出、ケヴィン・クラインがシラノ役、ジェニファー・ガーナーがロクサーヌ役…

マシュー・ボーン IN CINEMA『ロミオとジュリエット』

マシュー・ボーン IN CINEMA『ロミオとジュリエット』を試写会で見てきた。 www.youtube.com 生の舞台をロンドンで見ていて、内容に関してはそんなに大きな違いは感じなかったのだが、一つ思ったのはなんかちょっと短くなっているような気がしたことだ。ただ…

内容は面白いが、撮り方に一工夫必要~NTライヴ『フリーバッグ』

NTライヴで『フリーバッグ』を見てきた。フィービー・ウォーラー=ブリッジによる同名ドラマの原作になった舞台で、一人芝居である。 www.youtube.com ドラマ版のヒロインであるフリーバッグは、とにかくまったく人好きのしない女で、かなり人格に問題があり…

よくできたお芝居だが、改善の余地あり~『ダンシング・アット・ルーナサ』

劇団俳小の公演で、ブライアン・フリールの『ダンシング・アット・ルーナサ』を見てきた。フリールのオリジナルのお芝居をちゃんと生で見るのは初めてである。 www.haishou.co.jp 話は全体にマンディ家の5人姉妹の末娘クリス(西本さおり)の息子であるマイケ…

7カ国連合軍が襲ってくる~カクシンハンスタジオ『ジュリアス・シーザー』

シアター風姿花伝でカクシンハンスタジオ『ジュリアス・シーザー』を見てきた。ふつうにやると3時間以上かかる芝居を100分くらいに縮めたというものである。 いつものカクシンハンどおりクロスジェンダーキャスティングである。ブルータス(渡部哲成)は男優な…

台本はすごくいいのだが、いかんせん原作が…『虹と雪、慟哭のカッコウ~SAPPORO’72』

hitaruで『虹と雪、慟哭のカッコウ~SAPPORO’72』を見てきた。これは『カッコーの巣の上で』を札幌オリンピック開催前の札幌の精神病院に移した翻案である。 www.sapporo-community-plaza.jp もとの作品に出てきているネイティヴアメリカンのチーフをアイヌ…

シェイクスピア大盛りパスティーシュ~『天保十二年のシェイクスピア』

井上ひさし『天保十二年のシェイクスピア』をシェイクスピアリアン仲間で見てきた。日生劇場だったのだが、めったにとれないようないい席だったのでちょっとびっくりした。舞台でこれを見るのは初めてである。 www.tohostage.com 内容はシェイクスピア全作品…

その権力は肉か、服か~彩の国さいたま芸術劇場『ヘンリー八世』(ネタバレあり)

彩の国さいたま芸術劇場で『ヘンリー八世』を見てきた。これはあまり上演されない演目で、私も舞台では2回くらいしか見たことがない。 全体的に現代風なセットで、聖職者や王であるヘンリー八世(阿部寛)以外はかなり近代的なスーツを着ている。両側に階段が…