『非女子図鑑』

 保健センターに歯科検診の予約に行ったら、今日は男子の健康診断日だったせいで保健センターの前にずらっと人が並んでいた。で、そこを抜けて中に入ったら、職員の人が「やめてください!!!」みたいな感じで私の前に立ちはだかって、「熱を測ってマスクをしてからお入り下さい」と言われた。「歯科検診の予約で健康診断ではないのですが」と言っても「ダメです」の一点張りである。で、今日は私はメガネに帽子をかぶっており、こんなんでマスクして男ばっかりの中に並んだらどこからどう見ても変質者に見えるに決まっているし、だいたい2分で終わる歯科検診の予約に熱を測れとはバカみたいなので(そんなら予約リストを玄関まで持ってきて置いとけばいいじゃないか)、やめて出てきた。


 その後渋谷で『非女子図鑑』を見てきた。これは別に見に行く気なかったのだが、この間予告編を見た後寝たらなんか鳥居みゆきが出てくる悪夢を見たもんで、これは脳内のタツノオトシゴ(みたいな形が部位が脳内にあったはずだ)がこの映画を見に行くよう啓示しているに違いないと思ったので、行くことにした(ちなみに、以前に岡田斗司夫が出てくる悪夢を見たことがあるのだが、鳥居みゆき岡田斗司夫ほどじゃないがやっぱり悪夢に出てくると怖い)。



 全然お客さんがいなかったのだが、意外に面白かった。これは「非女子」つまり世間的には「女子」らしくないと見なされるような女性をテーマにしたオムニバス映画で、最初のほうの話は全然ダメだったのだが、後半のほうにかけてよくなった。


 第一話は占い依存の女子中学生の話で、これは毒がなさ過ぎでさっぱりつまらなかった。第二話は第一話よりマシだったが、結構普通の女ドラゴン話でそれ以上でもそれ以下でもなかった。第三話はブラをしない女とブラ男の考古学界を舞台にした恋愛もので、意外にさわやかな話でこのあたりから結構面白くなった。


 次の「男の証明」がたぶん全エピソード中一番面白かった。これはヤクザ映画『20世紀昭和残侠伝』の主役であるヤクザの役「花園ばらじろう」(←だと思う。一回しか名前言わなかったの自信ない)のオーディションに、「40年女やってて飽きた」と称する男装の片桐はいりがやってくるという話で、「男らしさ」をすんごくきちんと笑いのめしたかなり面白い話だった。とにかく片桐はいりの演技がうますぎる!


 第五話「混浴heaven」は温泉マニアの女の話で、まあまあ。第六話「死ねない女」は、なんというか『ウェルカム・ドールハウス』のハッピー版みたいな感じだった。これは自殺しようとするメガネ女の話なのだが、このヒロインはかなり狂った色彩感覚でデコレーションされた超汚い部屋に住んでおり、自殺しようとしたのはいいのだが汚い部屋で汚い格好で死後に発見されるのが嫌だと思って一念発起…という話である。ただ、私は掃除した後の部屋よりもきれいになる前のクレイジーガーリー部屋のほうが好きだと思ったので、その点イマイチだったかな…ちなみに私の部屋は超絶技巧的に汚い上、このヒロインと同様死後に見つかったらヤバそうなものがいっぱいあるので(このヒロインはポエムを書いていて、それが死後に見つかったら笑いの種になると思ってポエム帳を焼いてから灰を地面に埋めるのだが、私の場合は大正レトロモダン美術カタログ類とサンリオSFコレクションと、大量に買い置きしてあるけど使い切れてない蚊取り線香の山を死ぬ前に焼いておくべきかも…あと、パソコンのデスクトップがこれなのでパソコン自体焼いたほうがいいかも…)、実に身につまされる。

 
 …と、いうことで、『非女子図鑑』は全然お客さん入ってないけど意外に拾いものでかなりおすすめだと思う。