♪ドイツとヒトラーに春を♪フランスとポーランドに冬を♪ヨーロッパお気をつけ遊ばせ♪

 『名探偵モンク』を見ながらごはんを食べていたら、そのまま2005年版『プロデューサーズ』がやってた。この『プロデューサーズ』は、落ち目のブロードウェイプロデューサー、マックス・ビアリストックが会計士のレオ・ブルームと組んで、絶対に外れるミュージカルを打って集めた資金を持ち逃げしようとするものの、史上最大の駄作のつもりで作ったヒトラーミュージカルが当たってしまって大失敗…という話である。


 で、これが『プロデューサーズ』のテーマ曲、「ヒトラーの春」。全人類必見!



 この「ヒトラーの春」を見るたびに感心するのが、『プロデューサーズ』を作ったのはユダヤ人のメル・ブルックスで、作中でもユダヤ人(マックスは名前はポーランド系で、たぶんユダヤ人だと思う。レオ・ブルームはユダヤ人中のユダヤ人な名前である)が「ヒトラーの春」を作るという設定になっているところである。全く、これが噂のホロコースト産業…であるはずはないと思うが、ユダヤ人の自虐ネタには感心するしかない。パレスチナ人をいじめる金があったらもっとこういうおばかな映画に投資するべきだと思うのだが、世の中バカなことに投資するバカな人はいっぱいいてもおばかなことに投資する賢い人はなかなかいないようである。


 …で、私はあまり民族性で区切るようなことは言いたくないのだが、常々ユダヤ系とアフリカンとアイルランド人とセクシャルマイノリティのコメディアンがやる自虐ネタはハンパじゃないと思っている。クリス・ロックとか映画ではそうでもないけど、ピンでやる時にはなんかもうきいてるほうの笑顔が瞬間冷凍で張り付いちゃいそうなすごい人種差別ネタを繰り出したりするし、モンティ・パイソングレアム・チャップマンとか、リトル・ブリテン(第一シーズンしか見てないけど)もゲイ自虐ネタをやるとすごい(この自虐ネタの度合いのすごさのせいで他虐ネタをやってもよくなるわけだが)。ひどい言い方だが、やはり人生がつらいほうがコメディアンの芸はきっとよくなるんだろうと思う。悲劇に浸っていられるのは余裕がある証拠で、たぶん本当につらい人生について知っている人は、あとは笑うしかない(とくに自分を)。