中江裕司『真夏の夜の夢』

 今日は『真夏の夜の夢』と『ナイトミュージアム2』と『そんな彼なら捨てちゃえば』を見てきた。

 『真夏の夜の夢』は、シェイクスピアの『夏の夜の夢』を中江裕司が沖縄を舞台に映画化ってことで期待していたのだが、ちょっと期待しすぎたかも…沖縄というのはおとぎ話の宝庫で、いまだに妖怪とか妖精がいてもあまりおかしくないくらい霊力(?)がある場所だから(日本国内で、おとぎ話的霊力で沖縄に匹敵する場所は遠野くらいだろう)、『夏夢』を沖縄でやるという発想はすごくいいと思ったが、結構シェイクスピアに忠実なのかと思ったら最後のほうは中江ワールドになった感じであまりシェイクスピアっぽくなくなってしまった。もっとしっかり『夏夢』を落とし込んだほうが面白くなったのではないかと思うのだが…話としては、惚れ薬のせいで男女の四角関係がもつれるという筋をシェイクスピアからとっているし、異性装を使った演出があったり、パックにあたる役も出てくるので、『夏夢』っぽい雰囲気はある。

 …で、この映画は全体の三分の一くらいが琉球語で字幕がつくのだが、たしかに耳で聞いただけではさっぱりわからない。他の部分はいわゆるウチナーヤマトグチで、日本語族日本語をしゃべっている人でも一応わかるレベルなのだが、困ったことに私はウチナーヤマトグチだと演技がうまいのかヘタなのかさっぱりわからない。うちの母親が『ちゅらさん』について、「『ナビィの恋』を見たとき、おばぁの語尾の『〜さ』のアクセントがヘンだったからみんな芝居ヘタだと思ってたけど、『ちゅらさん』では全員ああいうアクセントでしゃべっていたので、あれは芝居がヘタなんじゃなくて沖縄の訛りだということに気付いた」と言っていたのだが、たしかに語尾の「〜さ」のアクセントが道産子の使用する「〜さ」のアクセントと全然違うので、なんか全員芝居がヘタみたいに聞こえるのである(共通語を話す人は、ちびまる子ちゃんの花輪君以外そもそもほとんど語尾に「〜さ」を使用しないので、このへんはよくわからないのでは?)。

 最後のほうはなっかちょっとマジックリアリズム風になって全然シェイクスピアからかけ離れてしまい、正直私は「???」になってしまったのだが、中江映画っていつもシュールだよな…以前、exexex…交際相手に「なんか面白いビデオを貸してくれ」と言われて、『パイナップルツアーズ』のビデオ(それ以外にコメディ映画と何かのアクション映画も入っていた)を貸したら、何を間違ったか交際相手のところに尋ねてきた妹(小学生)が『パイナップルツアーズ』を見てあまりのシュールさに泣いてしまったらしい(その妹は結構最強だったと思うので、よっぽど『パイナップルツアーズ』が怖かったんだと思う)。うーん、『真夏の夜の夢』は『パイナップルツアーズ』ほどシュールではないと思うのだが、それでも子供は怖がるかな…

 ちなみに、以前沖縄出身のアーティストさんと飲んだ時に「沖縄にはカニメガという名前のおばあちゃんが結構いる」という話をきいて、道産子の「クマ保険」に類する与太話ではないかと疑っていたのだが、この映画にはほんとにカニメガという名前の人が出てきたので、あれはほんとだったんだ…と思った。ちなみにカニメガのボーイフレンドはオホホガナシーメーである(ガナシーメーは敬称のようだ)。

 …と、いうことで、長くなってしまったので残りの二本は明日に回す。