昨日は芝居の前に劇場から近いロンドンユダヤ博物館に行ってみた。
入り口そばにいきなり泉のようなものが。これはユダヤ教の儀式用の浴場だそうな。
メイン展示は二階から。暗くていまいちわかりにくいが、これは宗教儀礼で使うものの展示の部屋。
Arkということなので、トーラーをしまう聖櫃の一種らしい。17〜18世紀くらいのもの。大変立派。
シナゴーグの模型。
階段にかかっていたユダヤ人の婦人参政権運動家の肖像画。われらの先輩ですぞ。
上の階はロンドンにおけるユダヤ人の歴史についての展示。まずは中世のゲットーの範囲を地図で確認。
エリザベスの治世におけるユダヤ人。一応、おおやけにはロンドンにはユダヤ人はいないことになっていたが、まあタテマエである。
このパネルはシャイロックのキャラクターの是非には言及してない。『ヴェニスの商人』は大変解釈の幅がある芝居なので、一見反ユダヤ的にも見えるがユダヤ教徒の中にもシャイロックはとてもよく書かれているユダヤ人のキャラクターだと思う人がいるらしい。
クロムウェルの時代にユダヤ教徒が一応ロンドンに住めるようになり、どんどんコミュニティができるようになる。
なお、ロンドンとリーズでは仕立業が最も一般的なユダヤ人の職業だったそうな。小売とかじゃないんだな!
イスラエル関係の展示は割合少なかった。あくまでもロンドンに住んでいるユダヤ人をテーマにその歴史を追うって感じ。
ホロコーストの展示もあるが、これもロンドン生まれのユダヤ系オランダ人でアウシュヴィッツから生還したレオン・グリーンマンとその一族を特集したもの。
これはレオン・グリーンマンがホロコースト否定論を論駁する集会に出たときのチラシ。
さらに上の階は特設展示。
今回はこのモロッコのユダヤ人コミュニティの特集展示が気になったので見に来たというのもある。去年参加したパレルモのクィア学会で、1940年代にユダヤ人の入植者がベドゥインと仲良くなって撮った写真についての発表があったのだが、その発表はとても面白かったのに画像資料の提示が少なくもの足りなかった。ところが今回こういう展示があるということで、ちょっとその時のものたりなさをフォローできるかなと…
写真類はどれも非常に興味深いし、あと女性がやたら美人ばっかりなのが気になった(…撮った人の好みがかなり反映されてるのでは?)のだが、一番面白かったのはこのモロッコのユダヤ教徒女性の婚礼衣装の展示かな。
日本や西ヨーロッパであるような白いドレスじゃなく、こういう刺繍の入った黒くて豪華なものを着て結婚の祝宴に出るそうだ。型もかっこいいし、おそらく気候にもあってるんだろう。
こんな感じでロンドンユダヤ博物館は小さいけどかなり展示は充実している。イスラエルとかに関する展示が少なく、ロンドンのユダヤ人についての歴史を淡々と追う構成もいい。一階にはなかなかかわいいグッズが売ってるミュージアムショップもあるし、お暇な方は是非どうぞ。