ナショナルシアター『十二夜』〜それでも恋するイリリア、なのか…?!?!

 ナショナルシアターで『十二夜』を見てきた。初日ということでジュディ・デンチとかがふつうに来ててすごくびっくり(ジュディ・デンチ、舞台で見るよりほっそりしてて思ったより007のMっぽかった)。

 えーっ、一言で言うと役者が結構ダメで、あまり面白くなかった…なんか見ていても通り一遍程度に笑えるだけであまりワクワクしない。後味はちょっと暗かったにせよ見ていてエキサイティングだっていうことでは一昨日のRSC『お気に召すまま』のほうがずっと良かったなぁ。

 シンプルでエレガントなセットについては去年のRSCの『十二夜』に勝るとこもあったかもしれないと思うのだが、今考えると去年のRSC『十二夜』は衣類やセットがちょっと奇をてらった感じなのが好みじゃなかっただけで役者の芝居はみんな非常に良かったと思える(ナンシー・キャロルのヴァイオラやリチャード・ウィルソンのマルヴォーリオはもちろん、個人的にはアレクサンドラ・ギルブレスのオリヴィアがあまりに可愛くてすっかりやられた)。それに比べて今回の『十二夜』は「なんでこんなキャスティングにしたんだ?」っていう感じ。役者と役柄があってないのでは…
 
 とりあえずレベッカ・ホール(『それでも恋するバルセロナ』のヴィッキー)のヴァイオラがあまりよくない。去年のナンシー・キャロルには生き生きとした中性的な魅力があって、大人っぽいのに可愛いアレクサンドラ・ギルブレスと良い対照になっていたけど、今回のレベッカ・ホールは台詞回しなんかがかなり大人しく優等生っぽい感じで、男の服を着てもフツーの女の子にしか見えず、あまり精彩が感じられなかった。親近感のあるキャラクターを狙ったのかもしれないが、ヴァイオラはこの芝居の推進力なんだからこういうちょっと半ズボンはいたフツーの女の子じゃダメだろうと思う。初日で調子が出なかったのかもしれないが…
 
 あとフェステ役のデイヴィッド・ライアルはかなり年取っていてメランコリックで、これは好みの問題だと思うが私はもっと陽気な道化のほうがこの芝居にはあうと思うし、全体としてそこまでメランコリックな演出でもないんだから演出のトーンにあっているかも疑問だと思ったなぁ…前の日の『お気に召すまま』でタッチストンがえらいパワフルだったからそれと比較してしまっているのかもしれないが。

 ただ、まあ腐っても『十二夜』ってことで、もともとの戯曲が非常にっていうかほとんど異常なまでに面白いため(シェイクスピア喜劇の中でも『お気に召すまま』、『夏の夜の夢』、『十二夜』の三つは上演して楽しくないわけがない)、そこまでつまんないというわけではない。やっぱり詩の力は偉大だな。