サドラーズ・ウェルズ劇場フラメンコウィーク、アイーダ・ゴメス・カンパニーの『カルメン』

 この間バルセロナでフラメンコを見れなかったのが心残りだったので、サドラーズ・ウェルズ劇場のフラメンコウィークに行ってきた。演目はアイーダ・ゴメス・カンパニーの『カルメン』。ビゼーの音楽をところどころ使いつつ、歌はほとんどなしでフラメンコ(少しバレエが入っている?)で話を表現するというもの。

 私は全くフラメンコについて知らない上、席がたいへん遠くて足がよく見えなかったので結構わからないところもあったのだが、やはり踊りにはとても魅力があると思った。長さは一時間半くらいなのだが、飽きないようにいろいろ演出も工夫してあり、とくにカルメンがホセが寝ている間に一人でいろいろ考え事(?)をして闇にとりまかれるところの派手な演出は面白かった(ホセのベッドの下から真っ黒な布が出てきて、下に黒子のダンサーが入ってカルメンを持ち上げながら踊るというもの)。

 とりあえずカルメン(アイーダ・ゴメス)は遠くから見てもとても良くて、思わずうちの大嫌いな品格という言葉を思い出してしまったな…ゴメスが演じるカルメンは貧しいが大変誇り高い女性で、描写するのに格とかいう漢字を使いたくなる。他のダンサーの踊りも面白くて、エスカミーリョ(←だと思うがあまり自信がない)はとくに手の動きに変わった特徴があって興味深かった。はたまたすんごく太った女装のおっさん(ドラァグクイーン?)のフラメンコは非常にコミカルで会場がおおいに沸いた。この体型でもフラメンコってできるのか!

 ただ、これはうちが踊りを見慣れていないせいだと思うのだが、音楽の編集はちょっと結構わからなかったな…闇の場面のあとにエスカミーリョが出てくるのだが、このへんの音楽の表情がなんか前の場面に比べてやたら脳天気な感じがして、場面の切り替わりも初心者には非常にわかりにくく、カルメンがどうしてホセを捨ててエスカミーリョとくっついたのかよく理解できなかった(舞台に近い席だともっとわかりやすかったかもしれない)。あと、オーケストラとスパニッシュギターを組み合わせた編曲にもちょっと疑問がある。ああいうのは普通なのかな? 

 まあそんなわけでわからないところはたくさんあったが全体としては面白かった。こういうストーリーのない伝統的なフラメンコもそのうち見てみたい。