ロイヤルバレエ『シンデレラ』〜つまらん!ただの魔法!

 ロイヤルバレエの『シンデレラ』を見てきた。

 うーん…正直、この間見たマシュー・ボーンの翻案のほうがずっと面白かったな。なんというかプロコフィエフのシンデレラの音楽は、うまく処理すればいくらでも恋愛の機微を表現できるようなオトナな音楽だと思うのだが、演出があまりにもマジカルお子様向けでフワフワしていて???という感じだった。出来のいいおとぎ話っていうのは別にハッピーなだけじゃなくて、子供にはかわいいだけの話に見えても大人が見ればいろいろ身につまされる要素が詰め込まれているものだろうと思うのだが(例:『ローマの休日』)、このシンデレラはなんか全然そういうところがない。マシュー・ボーンみたいにぐちゃぐちゃにいじらなくても、例えば「苦労人の若い女性がやっといい男と巡り会い…」みたいなオーソドックスな人情話として演出することはできるだろうし、そうしたっておとぎ話の醍醐味は減らないだろうと思うのだが、そういうことする気はないみたい。


 とりあえずシンデレラと義理の姉二人の対比があまりにもステレオタイプで、かわいいいい子ちゃん対ブスになってるのがつまらん。義理の姉は男が踊るのだが、これがカンペキに「アホなブス」で笑いをとるだけのキャラで、シンデレラはかわいくて純真ないい子ちゃん。子供連れの親御さんがいっぱいいたのだが、なんというかあまりにもブスに対して冷たい演出で、もしうちが親ごさんだったらあからさまにエロティックで暗かったマシュー・ボーンの『シンデレラ』とかよりも絶対こっちのほうが子供には悪影響だと思うだろうという気がした。とくに女の子だと容姿のことで悩んでるような子はいっぱいいるだろうから、こんなん悪影響極まりないよ!

 あと、妖精いっぱい出てきて踊るところはちょっとよく意味がわからなくていらないと思ったな…ああいうのはバレエのコンヴェンションで、うちが初心者だから理解できてないだけなのかな?


 で、思ったのだが、例えば義理の姉二人にものすごい美人のバレリーナを起用してすごくケバくて派手で頭からっぽそうなファッションで作って、シンデレラはメガネで本ばっかり読んでる暗いゴス風に作るのはどうかな?それだったらなんかもっと受け入れやすい内容になるんじゃないかと思うんだけど。