サドラーズウェルズ劇場、ノーザンバレエ『クレオパトラ』

 サドラーズウェルズ劇場でノーザンバレエの『クレオパトラ』というバレエ(ロンドンではたぶん初演)を見てきた。クレオパトラが弟プトレマイオスと結婚し、カエサルとの死別を経てアントニーと出会い、アントニーの死後に自殺するまでを二時間ちょっとで描いた物語バレエ。

 非常に明晰で素人でもわかりやすい話の作りになっており、主演のマーサ・リーボルトはとても魅力があったのだが、「子供は不可」という注意書きがあるくらいエロティックな演出(+暴力的な演出も)が多いので一般向けではないかも…まあ近親相姦と暗殺から始まって、その後はクレオパトラカエサルが布でぐるぐる巻きになりながらセックスする場面があり(←うまく説明できないが、例の絨毯にくるまってクレオパトラカエサルのところまで密輸する話を意識した振り付け)、アントニーと出会った後はクレオパトラアントニーのあからさまにセックスを表現した踊りの後にまるで乱交だか乱舞だかわからんような男女入り乱れてぐちゃぐちゃになる振り付けがあったり、おそろしく性的な場面が多い。しかしながらそれがうまく機能してるかっていうとどうだが…最初のカエサルとのダンスくらいはまあセクシーで良かったのだが、テレグラフのバレエ評で言われているようにセックスシーンのアントニーの動きはまるで「2012年のオリンピックに備えて練習でもしてるみたい」な感じで、色気がというより笑いが…

 最初から狂言回しみたいにして出てくる緑色の人は何だか私は途中まで理解できなかったのだが(相変わらず安くて遠い席で見たので化粧や衣装がよく見えなかった)、最後でクレオパトラの自殺に関わる毒ヘビだったと判明。この自殺場面は踊りも美しく神秘的でとても良かったと思うのだが、やっぱり遠すぎて舞台の奥にはけていくところがよく見えず非常にフラストレーションがたまった。たまには良い席で見たいなぁ…