スラットウォークロンドン〜女性に対する暴力に反対し、性犯罪の被害者の人権擁護を訴えるデモ

 スラットウォークロンドンに参加してきた。

 スラットウォークはカナダで始まった性暴力に反対する活動で、Slutは売女とかいうような意味である。既にウィキの項目もできているが、トロントの大学で警察官が「女性は被害にあわないようslutのような格好はしないほうがいい」と言ったことがきっかけで始まった。露出度の高い服装をしているのがレイプの原因であるとかいうようなバカ話を打ち破り、性犯罪の被害者の落ち度を責める風潮を批判し被害者の人権の擁護を訴えるため、女性たちがキメキメの格好で行進するというものである(「露出度の高い服装をしているのがレイプの原因」というのは二重におかしい。どんな格好をしていようと暴力を受けていいという話には絶対ならないし、その上服装と性犯罪の被害にはほとんど関係がないことが各種統計で明らかになっているからである)。

 ということでスラットウォークではキメキメの格好で行進する人もたくさんいるのだが、服装と性犯罪には関係がないことをアピールするためビジネススーツやスポーツをする格好などで参加する人もいる。

 うちは着物で参加。プラカードは東アジアの女性に対する人種的ステレオタイプに基づくセクハラ発言を茶化すもの。着物で出て行ったのも、アジアの女性がお洒落な服装、とくに民族衣装(着物に限らず)で歩いていると差別的な発言をされたりすることがあるのでその抗議のためである(チャイニーズの女の子に着物とプラカードを褒められたんだけど、たぶんチャイニーズもそういうこと結構言われてるんだろうなと思うし場合によってはもっとひどいのかもと思う)。

 I'm a lady!っていうのはイギリスでとても人気のあったテレビシリーズ『リトル・ブリテン』に出てくる、全く女性としてパスできないトランスヴェスタイトエミリー・ハワードの決まり文句。うちが大変気に入っている台詞なのだが、少なくとも2人くらいにはネタが理解された模様で笑ってもらえた。あと写真とられまくったしインタビューも四回くらいされたので、どこかの大学新聞とかローカルラジオとかに掲載されるかも。
(追記:写真をとってくれたエヴェリンガムさんという方がフリッカーもうちょっとよくとれてる写真をアップしてくれた。)

 アバヤのムスリマと一緒に写真とってもらった。

 ものすごい逆光だったのでうちもムスリマも顔がヘンになっているしプラカードの文字がよく見えないが、ムスリマのプラカードは「沈黙させられたイスラムの女性のために」という意味。ヴェールをしていても性犯罪の被害にあうことはあり、しかも告発できないということを訴えている。


 プロテストは非常に平和的でオシャレで楽しい感じで、ハイドパーク脇からトラファルガーまでゆっくり行進するというもの。男性も結構おり(露出度の高い女性を見たくらいで自己コントロールができなくなるようなアホではないと主張している男性も多し)、年齢も中学生くらいの子供から年金暮らしをしているおばあさんまでさまざま(Pension Slutとかいうプラカードの人がいてとてもウケた)。とにかく民族衣装からフェティッシュファッションまでオシャレなので沿道の観光客はかなり喜んでいた。












 トラファルガーではいろいろな演説があったのだが、一般的な性暴力に対する啓蒙演説以外に、セックスワーカーに対する暴力を減らそう!という演説(実際にかなりの数のセックスワーカーがデモに参加していたようだが、セックスワーカーだと性暴力を受けても告発がまともに受け取ってもらえないことが多いという気の滅入るような話)、トランスジェンダーに対する偏見に基づく暴力を減らそうという演説、アフリカンやカリビアンの女性に対する差別に基づくセクシャルハラスメントの告発など、ロンドンらしい多様性重視な演説が多かった。いやしかし気の滅入るような話が多かったです…暴力を受けた女性の人権が適切に守られるようになる日は遠いかもしれんが、頑張らないとよくはならないから。


 イヌもたくさん参加。

 この子は大変人なつこく、プラカードで遊びたかったのでなんかプラカードをボロボロにされた…のだがあまり気にしない!

 この他、コルセットまがいの服をつけたイヌや老犬などもおり、皆お行儀良く参加。

 今日見るとBBCインディペンデントは割合まともな記事を出しているように思うのだが、コメント欄が控えめに言っても荒らし同然のばっかりだな…あと、デイリーメイルの記事は相変わらずダメダメだね…なんか参加者がミドルクラスの女性ばかりだと指摘して性暴力より階級差別のほうが問題だとかいう話に持っていきたいみたいなんだけど、演壇に立って演説してたセックスワーカーの女性たちはワーキングクラスの女性じゃないんですかね?どうせちゃんと演説もきかないで取材もせずに書いたのだろうと…