レスタースクエアプリンスチャールズシネマ、『十三人の刺客』〜とにかくタイムラインに起こしたくなる映画だった

 『十三人の刺客』をレスタースクエアの映画オタク向け映画館、プリンスチャールズシネマで見てきた。日本では去年の映画だがイギリスでは二ヶ月前くらいに公開されて、やっとPPC(ここは名画座で会員になるとすごく安い)で見れた感じ。

 それでまああらすじとか感想はみんな書いてるからたいして書かなくてもいいような気はするのだが(稲垣吾郎演ずる暴虐な君主を、役所広司をはじめとする13人の刺客が討ち果たすまでを描く娯楽アクション時代劇)、まあうちは時代劇はあまり得意じゃないんだけどかなり面白かった。とにかくタイムラインに起こしたくなる映画だったな…二時間ちょっとで最後の半分はほとんど殺陣だったのだが、あれDVDを片手に「何分何秒で○○キャラが死亡、死因は何」とか分析したらいろいろ面白いことがわかりそうな気がする。殺陣が長すぎてちょっと中だるみの感もあったのだが(あんだけ血が飛ぶわ斬り合うわで中だるみというのもおかしいが、なんか早々にゲリラ攻撃を終了して斬り合いになっちゃうせいで殺陣が中盤以降結構単調な気も)、たるみそうになってきたら「おっ」というような決めの場面がいろいろ差し挟まれるという作りになっている上、ある瞬間を盛んにどんどん刺客側が討ち死にし始めるので、これを全部タイムラインに起こしてどこでどういう演出をすることで客の関心を持続させようとしているのか解析したらそれはそれは興味深いのではと思った。ただ、稲垣吾郎側が200人ちょっとでやってきて、刺客側がゲリラ攻撃で70人くらい倒したんならあとは刺客一人あたり十数名斬ればいいはずなのだが明らかに一人20人くらいは斬っていて(刀ではなく槍が一名、あとストリートファイトっていうかマウンテンファイト?が一人いるのでこのへんは20人斬るのは無理なのかもしれんが)、ちょっとそのへんはつじつまがあわなくて「何名死亡」とかタイムラインに起こせなそう。


 ただねぇ、たぶんうちが見たバージョン、カットされてると思うんだよね…ウィキペディアによると海外版は短くなってるようで、批評で触れられてる場面で存在しなかったものがいくつかあった(岸部一徳伊勢谷友介が絡む場面があるらしいという話だったのだが私が見たヴァージョンにはなかった)。


 平日夕方の回だが結構お客さんはいた感じで、結構よく笑ってたのだが、日本語圏の映画ファンとは笑う箇所が違うようにも思ったな…山田孝之が賭場で「ツキのねえやつと話すとツキがなくなるから」みたいことを言う場面で笑いが怒ってた。あと、役所広司が「みなごろし」と書かれた紙を敵に見せる場面は日本だとお客さんが大喜びしそうなとこだと思うのだが、イギリスのお客さんはやっぱりひらがなが読めないので思ったほど盛り上がっていなかった(字幕は"Total Massacre")。

 あ、あと最初に実は『タイタス・アンドロニカス』からまるっきりとってきたのではないかというネタがある。シェイクスピア研究者は必見かも。