ロンドン女性図書館「お仕事いっぱい安賃金〜女性と仕事の物語」展

 夕方から図書館史の全学セミナーがあり、本日の会場である東ロンドンの女性図書館に行ってきた(南ロンドンのフェミニスト図書館とは別物)。

 ロンドンメトリポリタン大の施設のひとつなのだが、建物は独立してる。

 中はこんな感じ。


 "All Work and Low Pay: The Story of Women and Work"(「お仕事いっぱい安賃金〜女性と仕事の物語」展)という女子労働に関する展示をやってて、無料で見られる。

 いきなり気の滅入るような参加コーナーが。

 
 それ以外はだいたいパネルで労働関係の統計や写真などを紹介するもの。

 おっ、この間紹介した本の表現にそっくりな言葉が。

 社会に出て行った女性がどこでも容姿を問題にされることにマジギレしたシルヴィア・パンクハーストのお言葉。

チャーチルがどんな服装してるかとか、鼻が格好いいかとか、顔がかわいいかとか、誰が気にすんの?」
 2011年の男女の賃金格差。今の調子で賃金格差が縮まれば2040年頃に平等賃金が達成されそうらしい。あとは育児支援が大事。

 職場に進出した女性たちのポスター。

 仕事の道具と平等賃金を求める女性たちの旗。

 イギリスの博物館の女性参政権関係の展示ってなんかこうわくわくするようなサフラジストたちの資料をいっぱい置いていて楽しい。日本よりもはるかに女性の政治参加の歴史を大事にしてて、女性参政権の獲得を民主主義の輝かしい成果として記念する傾向があるように思うのは気のせいかねぇ…パンクハースト母娘みたいな過激な活動家がちゃんと記念されてるのは日本ではあまりないことのように思うので、そういうところはうらやましいなと思う。


 さて、リーディングルームに移動。ここで司書による簡単なレクチャーがあり、所蔵している貴重資料などを見せてもらう。

 この図書館は1926年にミリセント・フォーセットによって開かれた小さな図書館がもとになっているらしい。16世紀の資料が一番古いそうだが、一番力を入れているのは19世紀以降の女性運動の資料で、ジョゼフィン・バトラーの伝染病法廃止運動関係の資料、サフラジストの資料、マタニティアライアンスの資料などを収集しているらしい。最近は第二波フェミニズムの資料収集に力を入れているそうだ。


 …で、この司書のお話は面白かったのだが、その後のレクチャールームでの講義はリーディングルームでの講義の繰り返しが多くて正直イマイチだったかも。出席してたのはどうやら学生よりは図書館関係者が多かったみたいで、質問セッションでは政府の予算カットについていろいろ話が出ていた。マンチェスターのジョン・ライランズ図書館は予算カットのせいでやばいことになってるらしい。


 まあそんな感じでレクチャーはいまいちのところもあったが、この図書館は展示も資料収集もいい感じだったのでまた行きたい。南ロンドンのフェミニスト図書館にも行ってみたいなー。