『シャーロック』第二シーズン最終話"The Reichenbach Fall"(いっぱいネタバレあり)

 『シャーロック』の第二シーズンが本日怒濤のフィナーレを迎えた。最終話タイトルは"The Reichenbach Fall"ということで、有名なライヘンバッハの滝での格闘を含む「最後の事件」が原作。

 ↓ニーナ・シモンの"Sinnerman"が印象的なトレイラー。本編でも効果的に使われてる。

 …と、いうことで、先に言っておくが、クライマックスはシャーロックとモリアーティの格闘である。原作では2人は格闘しつつ滝に落下して死亡…したはずがホームズだけは日本の古武術(?!)を習っていたおかげで生き残っていた、というやや強引な後付のオチ(名探偵を殺したことでドイルはかなり批判され、結局生き返らせることにしたらしい)になるのだが、本作でもシャーロックとモリアーティは死闘を繰り広げた末、両方死亡…と思われたのだが、最終カットはシャーロックが生存していることを示している。問題はどうやって生き残ったかだ!途中でいくつか伏線らしいものがあり、現在ツイッターやらフェイスブックで騒いでいるファンの意見では「対決前日に医師のモリーを訪ねたのがカギで、モリーに検屍で死んだことにしてもらったんじゃないか」「飛び降りてぐちゃぐちゃになったシャーロックのものらしき死体は何らかの偽装工作(これにもモリーが噛んでるかもしれないが不明)」「シャーロックがビルから飛び降りた時にジョンにぶつかったバイクもあやしい」とかいろいろ意見も出ている(うちの母は中身を見てないのに「実はシャーロックが三つ子」と断言しているがそれはありえないだろう)。

 まあしかしこの第二シーズン最終話はやたらクレバーでダークな展開といい、役者陣の入魂の演技といい、相当出来は良かったと思う。とりあえずモリアーティが異常なまでに巧妙な人心掌握術を駆使してシャーロックに犯罪者の濡れ衣を着せ完全に陥れようとするのだが(歴史の捏造まがいのことまでやってのけるあたりは背筋が寒くなる)、ジョンはいくらモリアーティに言われてもシャーロックを信じるし、普段シャーロックの無礼に悩まされ続けているモリーやハドソン夫人もいざとなるとシャーロックの味方をしてくれるというあたりがいい。それでいつも冷淡で不作法なシャーロックもこういう親しい人たちの命をモリアーティから守ろうと策略をめぐらせるのだが…という展開になる。

 最後、シャーロックが死亡(??)するあたりからシャーロックの墓参りをするまでのジョン役のマーティン・フリーマンの演技はそんなに派手な表現ではないのだが実に心に訴えてくるものがあったと思う。ベネディクト・カンバーバッチはいつもよりいっそう人間らしい(?)シャーロックになった感じだった。モリアーティを演じているアンドルー・スコットはわりと抑えた感情表現も得意な主役の2人とは違うとても芝居がかったスタイルなのだが、まあ役柄が役柄なのでそういう派手な悪役っぷりが実に板に付いていると思った。あと、The IT Crowdのキャサリン・パーキンスが記者役で出演。珍しく真面目な役をやっている。

 と、いうことで、皆第三シーズンを待ちわびているのだが第三シーズンは来年初めまではないらしい。えええええーっ…気になりすぎる…