ロンドンワールドパーレスクゲームズ四日目、お待ちかねのボーイレスク!@ロイヤルヴォクソールタヴァーン

 さてさて私が一番楽しみにしていたボーイレスク(男性バーレスク)はヴォクソールにある老舗のゲイクラブ、ロイヤルヴォクソールタヴァーンで開催。

 内装はこんな感じ。わりと狭い。



 まあ困ったのはゲイクラブなんで女子トイレがないこと。いくらうちが図々しいとはいえ男性陣と同じトイレはきつかったな。

 司会のジョー・ブラック。

 英国紳士の鑑、ロード・リッツによるジェントルマンバーレスク。みんなの関心はひとつ、「英国紳士はスーツの下に何を着ているのか」


 音楽は"Puttin' on the Ritz"→"I'm Too Sexy"ということで、大道ですな。


 デューク・デ・ミロ、リチャード・ギアの"Razzle Dazzle"にあわせてマジックをやりながら脱ぐ。


 
 
 ミスター・ミストレス。ドラァグショーなのでBoylesqueにするかfemaleにするか主催側が迷ったそうで、そういうのって"alarming"ですよねと司会が言ってた。まあでもやっぱりゲイクラブでやるんならお客さんはドラァグショー見たいよねぇ。

 とりあえず踊りは文句なしに上手だし、お腹に筋肉の模様を書いてたり諷刺もたっぷりでこれぞバーレスク!って感じだったのだが、イギリス人でこの身長にしてはやせすぎじゃないか…?踊りのトレーニングで脂肪が全部燃えちゃって太れないのかなとか考えると、質の高いドラァグショーをやるのもなかなかつらそうだと思ってしまった。

 私のお気に入りでイギリスバーレスク界のスターであるスペンサー・メイビー。

 設定はパリ、ショーのあとで美しいパリジェンヌのところに転がり込んだスペンサーが彼女のためだけにバーレスクするというもの。手前の椅子に自分が座ってると思って見て下さい。しかしこの過剰な気取りは全くスターだけにしか許されないものだよな!しかしトリック一切なしで正攻法のストリップティーズなのにこれだけお客さんを惹きつけるのはすごい。やはり基本が大事ですな。

 フーレイ・ヘンリーのファイアダンス。


 これ、途中で失敗して火を地面に落っことしたりして結構やばかったです。普通の舞台と違ってゲイクラブだと客とステージが近いからねえ。

 ブリティッシュ・ハート。この人は全体的に超やばかったのでアヴァンギャルドなものOKな人だけ動画見て下さい。とくにふたつ目の動画は全部脱いで丸出しにして英国国歌をかけたり、風俗壊乱+政治諷刺がすごい過激なので日本の舞台でやると違法だし右翼が怒鳴り込んでくるかも(この間の『ネイキッドボーイズシンギング』もそうだけど、ロンドンだと舞台芸術で全部脱ぐのは違法ではないらしい)。



 この演目の設定は、ブリティッシュ・ハートはボーイレスクの博士号(!)を持っているマッドサイエンティストで、研究成果を見せるためバーレスクパワーを高める特効薬だかなんだかを使ってパフォーマンスする…というものなんだけど、博士号を取得した結果が全身にシェービングクリームを塗りたくって全裸で乱舞とはなかなかポスドクのつらい人生を暗示するようで意味深ですなぁ(←と思ってしまったのは私だけか?)。
 ちなみに私はバーレスクで全部脱ぐのはあまりいいと思わない(じらしがテーマだからね)んだけど、この演目はものすごいエネルギーといいギーク心をくすぐるB級SF設定といい過激な諷刺といい、すごいよく考えてバカやってる感じは認めざるを得ない!結局ブリティッシュの一位はこの人がとったんですが、納得。

 後半はブリテン諸島外のダンサーによるパフォーマンス。こちらはグレート・レオのマジックやりながら脱ぐバーレスク

 この人は名前の発音がよくわからなかったんだけどAlan Debevoise。

 設定としては、米軍占領下の日本でアメリカ兵が贔屓の芸者のため芸者に変装して置屋(ゲイシャハウスといってたな)に潜入するというものらしい。しかしご本人はイタリアのダンサーかなんかみたい。途中で芸者→ストリップ→軍人と二回変わります。最後もういっぺん服を着て軍人で終わるあたりは工夫がある。

 ゴーゴー・ハーダー。設定としてはゲイのカウボーイらしい。コンセプトはBoy-next-whoreだとか…

 これもとにかくエネルギッシュで凝っててキャンプテイスト満載で、インターナショナル部門一位はこの人でした。

 スモーキン・マックィーン。

 これまたかなりのキャンプテイストだが、これはちょっと踊り自体の身体能力がすごいからなぁ。

 マルコス。見てすぐわかるようにフレディ・マーキュリーオマージュもの。

 結果発表。


 全体としてボーイレスクはめちゃくちゃオリジナリティがあるし踊りもうまいし、まあ私がヘテロセクシュアルの女性でイケメン男子に弱いことを差し引いてもエンターテイメントとして凝っていて質が高い演目が多かったと思う。もともとゲイクラブのショーとかキャバレー演芸なんかを素地にしていて、脱ぐだけじゃないトリックがいろいろできるパフォーマーが多いからなのかなぁ。あと、ブリティッシュはわりとスペンサー・メイビーみたいにヘテロセクシュアルの女性を主なターゲットとした演目をやる人も多かったと思うんだけど、インターナショナルのほうはゲイ向けな演目が多かったような気がするなぁ。