ヴェルディ『ファルスタッフ』〜ロイヤルオペラハウスシェイクスピアまつり

 オリンピック関連のシェイクスピアまつりの一環としてロイヤルオペラで上演されたヴェルディの『ファルスタッフ』を見てきた。

 お話は『ウィンザーの陽気な女房たち』とほぼ同じなのだが、原作よりは短くてかなりカットされてる。かつ娘の恋人との結婚話については母親は賛成だが父は反対(原作は両親とも反対)ということになっていて、原作よりも父親たちの影が薄く、母親たちの活躍が多いような作りになっているので、女性同士のきびきびしたやりとりが多い。あとフォルスタッフが最後にかなり風刺的で喜劇的なしめの台詞を言うあたり、父親たちの見せ場が少ないぶん、フォルスタッフの役柄が結果的に大きくなっている気がする。

 演出のほうはけっこうモダナイズされており、女性たちがフォルスタッフをからかうため呼び入れるキッチンとかはシステムキッチンだったし、セットや衣装も時代はまあ21世紀ではなく1950〜60年代くらいだろうと思うけどけっこう現代的。馬を出してみたり、フォードがフォルスタッフを家捜しする場面では下着やら冷蔵庫の中のものやらをぶん投げてそこらじゅうめちゃくちゃにしたり、かなりエネルギッシュな演出。

 全体の感想としては、とても活気のある楽しい喜劇だったと思う。音楽のほうもコメディタッチを優先するのか、朗々と歌い上げるアリアとかよりは掛け合いの妙やジョークを楽しむような作りのところが多かった気がする…ので、お話としては大変わかりやすいが、オペラとして初心者に覚えやすいメロディとかがあるかと言われるとそうでもないかも(というわけで歌のうまさについてはよくわからなかった。これ、掛け合いのタイミングが難しくて実は歌いにくいのでは?)。まあオペラはあまり見慣れていないというのもあり、出来については判断できないところもあったなぁ…

 あと、面白かったのは私の座った席が脇で字幕の見えないところだったので、前の席の後ろに小型字幕がついてたところ!