バービカン、バウハウス展〜すばらしき役立たずの科学

 『シンベリン』を見る前に同じバービカンセンターでバウハウス展を見た。

 バウハウス関係のものは既に何度か特集展を見ているし、そもそも駒場博物館でやった時は監視員として働いていたりもしたので結構なじみもあるのだが、ここまで規模の大きい展示は見たことがなく、とくにトリアディックバレエの衣装・装置類の展示がすごかった…なんかYouTubeにこのバレエの関連動画があがっていたので、どの程度頭おかしいか見てみてください。説明がドイツ語でわかんなかったのだが…

 ↑なんかよくわからないけどたぶんこれを舞台で見たらすごい迫力な気がする。

 と、いうことで、全体的にオリジナリティはとにかくものすごくて100年近く前に発足したものだとは思えないモダンさなのだが、ただこういうものが好きでふだんから周りに置いておきたいかと言われるとそうでもないような気がする。例えば椅子とかは見た目はかっこいいのだが座ったら腰痛そうだし、おもちゃとかも遊びやすいのかなーとかぶっ壊れたらどう修理するんだとか少し疑問だし、バレエ衣装は確かにすごいカッコいいがこのまんまコケたらダンサーけがするんじゃないのかとか若干心配だし、見た目はすごくても「用の美」を備えていないもの、ヒトの体の動きになじまないものが多いと思う。バウハウスは工業デザイン中心で科学性とか大量生産しやすいこととかを重視していたことを考えるとこの実用性の低さはいつも不思議なのだが、まあこれは「科学的だからといって実用的とは限らない」という日用品に関する一面の真理を示しているのかもしれない。そしてたぶんこの「超カッコよくて科学的、でも役にたたねーぜ!だからどーした!」みたいな過激なところは、社会に役立たないものはいらないと考えてそのために科学を利用しようとしたナチスに嫌われそうな思想ではある。しかし、そう考えると「科学的」ってのはいったいどういうことなんだろうねぇ…私はバウハウス疑似科学ナチスニセ科学と言いたい欲望にかられてしまうのだが。