ドルイドマーフィ(1)『帰郷の会話』(Conversations on a Homecoming)

 ゴールウェイのドルイドシアターカンパニーが「ドルイドマーフィ」と題してアイルランドの有名な劇作家トム・マーフィの三作品をサイクル劇として上演しており、これがハムステッド座で一週間くらいだけの限定上演でやってくるということで見に行ってきた。三作やって二作しか見れなかったのだが(一週間で三作見るってきつすぎ。ちょっとスケジュールに無理がある)、とりあえず1作目の『帰郷の会話』(Conversations on a Homecoming)。

 えーっ、正直言ってこれはあんまり面白くなかった…アメリカに移住したアイルランド人の俳優、マイケルが一時帰国してパブで仲間と話す様子をリアルタイム進行で見せるというものなのだが、まず私の英語力が足りなくてゴールウェイあたりのアイルランド英語(去年アイルランドで『夢の島イニシュマーン』を見たときも英語がわからず苦戦したのだが)の台詞がほとんどわからない。あと登場人物がパブでひたすら酔っぱらっていってここの描写がリアルだと評価されているらしいのだが私は全く酒を飲まないのでなんかこのテンションというか雰囲気があまりピンとこないのである。子供の頃、冠婚葬祭で田舎に大人が集まって酒を飲んで同じ話ばっかりきかされて飽き飽きした時のこととかを思い出してつまらない気分になってしまい、途中いっぺん意識を失いかけた。パブというのはアイルランドの演劇や文学では重要な舞台に違いないのだが(『西の国のプレイボーイ』やジョイスの作品などもそう)、この芝居は『西の国』みたいに動きがあるわけでもなく登場人物がほぼ座ったままで動きに乏しいのでかなり眠くなってしまった。

 あと女性が一人しか出てこないのだが、あのキンキン声でしゃべる役作りは何なのかねぇ…非常に女性の影が薄い芝居だなぁと思った。