Theresa de Kemp, Women in the Age of Shakespeare (Greenwood, 2010)(テレサ・デ・ケンプ『シェイクスピアの時代の女性』)を読んだ。
これは大変よくできた参考書で、シェイクスピアとジェンダーについて一から知りたいという人はまずこれを読めばたいてい基本的な情報が入っていると思うし、学部の授業とかでもすぐ使えると思う。まずはシェイクスピアの戯曲に出てくる古代や中世ヨーロッパの女性のことを簡単に解説したあと、シェイクスピアの時代のイングランド女性の暮らしや教育、地位に関して一般的におさえておきたい歴史的背景、シェイクスピアの戯曲や詩に出てくる女性登場人物に関する批評のおさらい、上演史の上でジェンダー研究の観点から重要と思われそうな公演・翻案の解説、シェイクスピア批評と女性、シェイクスピアの時代の女性に関する史料を中心にした一次史料集からなっていて、どれも基礎知識をコンパクトにまとめてあって読みやすい。大変オススメ。
ただジェンダー中心でセクシュアリティ系はやや弱く、クィア系はほとんどおさえてないので、これと同じようなクィア系のコンパニオンもほしいところ。誰か知ってます？
