バービカン「007をデザインする:ボンドスタイルの50年」展〜007に見る英国デザインの歴史

 バービカンで「007をデザインする:ボンドスタイルの50年」(Designing 007: Fifty Years of Bond Style)を見てきた。007に出てくる衣服とか車とか小道具とか、そういうものがどういう風にブリティッシュデザインの変遷に伴って変化しているかを見せる展覧会。


 会場は、一般的なスタイルの歴史、悪役とファムファタル、アイスパレス(冬季の逃走手段に特化したという超独特な展示)の三区画に分かれている。この他にマティーニバーとショップもある。私、たしかまともに最初から最後まで見たことある007の映画ってソフィー・マルソーが出てるヤツだけだし、正直車とかにはあまり興味がないのだが、それでもデザインの変遷が丁寧に追われていて結構面白かった。

 とりあえず思ったのは、ボンドよりは悪役とボンドガールの衣類をデザインするほうがだいぶ大変そうだということである。ボンドはとりあえずまあマイナーチェンジはあっても洗練されていてセクシーで女王陛下の忠実な臣下で…という基本イメージがあるので、だいたいはスーツや小道具をできるだけ流行にあわせるというやり方でわかりやすくスタイルが作れるようなのだが、悪役はとりあえずボンドの敵が時代にあわせて社会主義陣営からテロリストやらゲリラやらハッカーやらギャングやらにどんどん変わるし、あとボンドガールのほうもどんどんアクションヒロインになってしかも白人グラマーだけではなくアフリカンやアジア人も出てくるので、衣服の稼動性や色合いや身長に合わせた靴のヒールなんかをどうするかとかいろいろ難しそう(ミシェール・ヨーのコスチュームが展示されていたがあれはまあヨー姉さんしか着れないようなものだろうな。衣装を着てやったアクションの映像も見られるのだが、映画のほうも見てみたくなった)。

 あとアイスパレスのほうでは冬季の逃走手段がその時々の流行のウィンタースポーツを取り入れてどう変化しているのか、みたいな映像も見ることができて、この映像にスーツ姿のリッチなビジネスマンからTシャツのスポーツ男子まで男どもが皆見とれていて若干微笑ましかったのだが、まあボンドさんは顔も売れちゃったしスパイをやめてXゲームズ出たほうがいいんじゃないのかっていうような映像だった。リュージュを使った逃走とかもあるんだな。これ、シリーズ全作品を見て出てくる逃走手段を細かく検証した論文とかないんだろうか?
 
 と、いうことで、あまり007を見たことがなくてもファッションや映画に興味のある人は楽しめる作りになっているのでとてもオススメなのだが、予約は必須。とくに17時以降は列ができるくらい込んでいるので是非ネットで予約を!