Herbert Sennett, Nicholas Rowe and the Beginnings of Feminism on the London Stage

 Herbert Sennett, Nicholas Rowe and the Beginnings of Feminism on the London Stage (Academica Press, 2005)をやっと読んだ。

 シェイクスピアの編者で王政復古演劇末期の劇作家であるニコラス・ロウに関する基本的な研究書で、いわゆるロウのShe-tragedy(女性悲劇)のフェミニズム(Feminismという言葉を19世紀より前に遡って使うのはこの分野では普通である)的な側面を明らかにしたものである。女性の権利の擁護というおそらく常にあったであろう動きについてThe Beginnings of FeminismとかThe Birth of Feminismというような表現を使うのは私はよくないと思うのだが、まあそれはいい。内容はロウの代表作であるThe Fair Penitent, Jane Shore, Lady Jane Greyなどを中心に、ロウが共作していた女性作家スザンナ・セントリーヴァへの支援、ロウのキャリアの変遷、ロンドン市民の間での人気などもからめて非常によくまとめている。