八木谷涼子『なんでもわかるキリスト教大事典』〜名は体を表さず、実際は事典を見たくない時に使う本

 八木谷涼子なんでもわかるキリスト教大事典』(朝日文庫、2012)を読んだ。

 この本は基本、翻訳やジャーナリズムなどに携わる人向けのキリスト教ハンドブックで、宗派ごとの用語の違いとかを手軽に調べるためにはかなり重宝する本だと思う。とくにうちは東方教会に弱いので、そのへんはかなり役立つなと思った。


 ただ、疑問点が二点ある。まずこれ、小型のハンドブックであって「なんでもわかる大事典」ではないだろう、ということ。これはたぶん岩波キリスト教辞典みたいな非常に情報が多い事典とはむしろ逆の用途で、コンパクトになんかまとめたものを見ないと…という時に使う本なので、このタイトルはよろしくないのではと思う。


 ふたつ目は、やはり「必携」というか教科書みたいな本なので過去の通説だけが記載され、最新の議論が反映されてないかもしれないところがあるところ。ユニテリアンの解説で、代表人物としてアイザック・ニュートンがあがっているのだが、id:nikubetaさんによるとニュートンの信仰については最近かなり議論が多くあり、不確定なところもあるらしい。