ブラッドリー・クーパーがイケメンだからってなんでも許されると思うなよ〜『世界にひとつのプレイブック』

 『世界にひとつのプレイブック』を見てきた。のだが、音楽の使い方とか役者陣の演技はすごいと思ったんだけど、全然おもしろくなかった…

 まああらすじは「精神疾患に悩む男女が出会ってダンス大会に出場してくっつく」という単純なラブコメである。で、「ラブコメ好きにおすすめ」という批評も結構見かけるのだが、私の意見でははっきり言ってこれ全然まともなラブコメじゃないと思う。普通のラブコメならもっと「どうしてヒロインは一見ダメな男性主人公を好きになったのか」という説得的な描写がちゃんとあるはずで、単にブラッドリー・クーパーがイケメンでジェニファー・ローレンスが精神不安定だからだ、とかではいけないはずだ。しかしながらブラッドリー・クーパーの最初のほうの言動とかはいくら病気だからって許されるような言動ではないと思うし、それについてきちんと反省してそれをきっかけにヒロインが好意を…みたいな描写もない。一応、家に押しかけてきた男を追っ払うところはそういう意味で「これをきっかけにヒロインが好意を…」描写なのかもしれないが、あれだってなんかちょっと理屈おかしいだろ…皆ブラッドリー・クーパーがイケメンであること、そしてジェニファー・ローレンスの芝居がうまいからだまされているだけだと思うのである。そうか、結局イケメンか。ふん。

 あと、最後にジュリア・スタイルズ夫妻がパットの元妻をダンスコンテストに連れてくるところもなんかおかしいと思った。私がジュリア・スタイルズなら絶対に女友達をトラウマものの暴力をふるったことのある元夫のところになんか連れていかないもん…全体的にこの映画は男性の行動はともかく女性の行動を描く時に細かい動機とかをすっとばしすぎててそのへん全然納得できなかった。


 ただ、レッド・ツェッペリンとかホワイトストライプスとか、若干神経症的なヘテロセクシュアル男音楽をここぞというところで聞かせてくる音の使い方はすごくよかったと思う。とくに病院での幻聴描写の音の編集はすばらしい。

 あと、アメフトの試合に南アジア系のファンがバスでやってきて、フーリガンぽい人たちとトラブルになるっていうのはこれ、どの程度現実の状況に基づいているんだろう…?アメフトには本当にそんなに南アジア系のファンがいるの?民族差別をするフーリガンもいたりするの?