人文会にて発表

 本日は書店と出版社の業界団体「人文会」の研修会の講師としてお呼ばれし、「流通するシェイクスピア~メディアの境界を越える17-18世紀イギリスの女性ファン」と題するトークをやって来ました。要旨は以下のような感じで、現在修正期間中の博論の内容を少しつまんだものです。

「流通するシェイクスピア~メディアの境界を越える17-18世紀イギリスの女性ファン」 
 本発表はウィリアム・シェイクスピアが17-18世紀にかけて英国の「国民詩人」として名声を確立していく過程で、女性がどのように舞台と書籍という二種類のメディアを行き来しながらその作品を受容していたかを、ファン研究やメディアの歴史といった視点から考えるものである。戯曲刊本の所有や上演記録、また近代最初のファンイベントと言えるであろう1769年のシェイクスピア・ジュビリー祭などの分析を通じてシェイクスピアの普及を広い視野で考えたい。

 理論的バックグラウンドとしてはヘンリー・ジェンキンズのconvergenceの話なんかを使って、第一部が書物史、第二部が近代最初のファン大会としてのシェイクスピア・ジュビリーの話をしました。言いたいこととしては、舞台を見たり本を読んだり、いろいろなメディアをまたいで作品を享受するアクティヴな受容者(この発表の場合、女性の受容者)をできるだけ総合的に記述しよう、っていうような感じです。