三菱一号館美術館「浮世絵Floating World−珠玉の斎藤コレクション 第1期 浮世絵の黄金期―江戸のグラビア」

三菱一号館美術館で「浮世絵Floating World−珠玉の斎藤コレクション 第1期 浮世絵の黄金期―江戸のグラビア」を見てきた。この浮世絵展は三期に分かれており、かなり展示替えがあるらしい。

 今日展示されていたのは「黄金期」だけあって明るくすっきりした感じのものが多く、役者絵なんかも華やかだったし、あと時節柄涼しい絵(川遊びとか)が多いのもよかったが、ただ火鉢の絵はこの寄稿で見るとかなり暑苦しかったなぁ…あと「六郷渡」(柳々居辰歳作)という絵の周りについていたキリル文字みたいな縁取りは謎だが面白い。

 あとこの展覧会で面白かったのは、最初の解説パネルのところで、「三菱一号館美術館は西洋画専門の美術館だが、グローバルになるため浮世絵を展示することを決意した。浮世絵の西洋画に対する影響がわかるようにしたい」みたいな文章があって、一読すると「西洋画の美術館がグローバルになるために日本画展示ってなんか変じゃない?」みたいな気もするが、よく考えると最近出回ってるグローバルナントカみたいなのに比べるとこの三菱一号館美術館の態度は大変まとも、というか正しくグローバルだと思う。まず日本の絵画とかについてよく知っているというのは海外に日本人が出た時にかなり強みになるものでもあるし、また西洋画と浮世絵をきちんと接続するというのは学問的にも意義のあることだし、美術トレンドなんていうのは国境を越えて移動するものだからそれがわかるように展示するっていうのはしごくまっとうに面白い。その言葉どおり、浮世絵が飾られた展示室内にさりげなくロートレックやボナールなんかのジャポニスム風絵画(よく見るとなんとなく同室の他の浮世絵との類似点が見えてくる)が飾られており、「論より証拠」で西洋画と浮世絵のつながりが押しつけがましくなくわかるようになっていてとてもいいと思った。