太田記念美術館「北斎と暁斎 奇想の漫画」展

 太田記念美術館で「北斎と暁斎 奇想の漫画」展を見てきた。タイトルどおり、奇想と漫画という共通点がある葛飾北斎河鍋暁斎の作品を、ユーモア絵画を中心に展示するというもの。この二人を見比べていると、日本の絵っていうのは本当に奇想がメインストリームの世界だったんだなぁと思ってしまった。北斎もそうだが、暁斎はほんとに絵がなんか黒っぽいというか書き込みが激しいし、デフォルメとかもまるで現代のすっとんだマンガみたいな感じである。

 とくに面白かったのは暁斎のガイコツの絵で、暁斎のガイコツの絵はそれほど解剖学的っていうわけでもないが宗教的でもなく、非常にユーモアがあってむしろ『ティム・バートンのコープスブライド』とかに近い感じ。ジェームズ・アンソールなんかよりもよっぽど気楽な感じでいいなと思った。

 あと、北斎暁斎を比べると暁斎のほうが明らかにモダンで、人体描写とかは西洋画の影響も受けてると思う一方、どっちかというと同時代のヨーロッパの画家が暁斎とかを模倣したんじゃないのかと思うようなところもあり(海外でも人気があったらしいし)、絵画トレンドがどう世界的に動くかっていうのを感じさせる展覧会でもあった。