17世紀イングランドでお買い物をする〜Linda Levy Peck, Consuming Splendor: Society and Culture in Seventeenth-Century England

 Linda Levy Peck, Consuming Splendor: Society and Culture in Seventeenth-Century England (Cambridge: Cambridge University Press, 2005)を読んだ。これは話題になった本なので既に読んだ人も結構いるのかも。

Consuming Splendor: Society and Culture in Seventeenth-Century England
Linda Levy Peck
Cambridge University Press
売り上げランキング: 249,332


 17世紀イングランドにおけるお買い物とか贅沢品の消費を文化史的に考察しようという本で、たいへんわかりやすく読み物としても面白いので、研究書だが一般の方でもわりと読めるのではないかと思う。以前紹介した『万引きの文化史』に似ているようにも思うが、こちらのほうが少し堅い本ではある。17世紀イングランドにおける店舗の営業方式や新しいニーズの開拓といったシステム的なところから、本や家屋、芸術品などの商品、また蒐集などの文化まで手広くカバーしていている。とくに面白いのは空位期(Interregnum)にもかなり贅沢品取引があったという話で、王殺しに関わったジョン・ハッチンソンなどの議会派が王室のコレクションの一部を買い取っていたとか、イングランドの議会派ピューリタンというのは実は思ったほどお堅い人々ではないのではないかという印象を受けた。