アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ『そのとき、本が生まれた』清水由貴子訳(柏書房、2013)を読んだ。
そのとき、本が生まれた
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ヴェネツィアを中心に出版の歴史を追った研究書で、アレティーノのポルノグラフィみたいに有名な話から、「出版界のミケランジェロ」ことアルド・マヌーツィオの業績の再評価とか、コーランやタルムードの出版、楽譜ビジネス、はたまたアルメニア語とかなかなか取り上げられない言語の出版の話など盛りだくさんな内容。イタリアの研究者がイタリア語で書いた著作ということで英語のものとはちょっと目の付け所が違うなぁという感じもあり、どんどんこういう本が翻訳されてほしいと思った。
しかし一番記憶に残ったのは、修道院で若い女性研究者が世界で初めて印刷されたコーランを発見するくだり。宝探しみたいでエキサイティングだが、一方で修道院の男性たちがなんとなく若い女性研究者を軽んじてるんだなっていうのが垣間見えるところもあっていろんな意味で興味深い。