英国ルネサンス演劇入門に最適〜Helen Hackett, A Short History of English Renaissance Drama

Helen Hackett, A Short History of English Renaissance Drama (I. B. Tauris, 2013)を読んだ。

明日からでも英文学科の授業で使えるような良い入門書だと思う。親切な年表もついているし、章立てなんかもまず英国ルネサンス演劇の文化的背景と重要な三人の作家(マーロウ、シェイクスピア、ジョンソン)の概観を頭に入れてからジャンルやジェンダーなどのテーマ研究に行くということで、学部生のうちに習っておいたら便利そうなところはだいたいカバーしてある。細かい分析なども明晰で、研究者が読んでもははあと思えるところが多い。

 欲を言えばポストコロニアリズムや民族などの関連の話がやや少ないこと、チャールズ一世の治世をほとんどカバーしていないことが少し物足りないかもしれない。