写真以前のファッションとは?〜練馬区立美術館「モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」

 練馬区立美術館で「モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」を見てきた。雑誌のファッションプレートや挿絵本(直接ファッションを主題にしてないものも結構あったが、当時のオシャレがよくわかるファッショナブルなもの)を中心に、19世紀末から20世紀末までのフランスのポピュラーデザインを見せるというもの。ファッションプレートとか挿絵本とか、普段自分が店で売ってるものがたくさん置かれていてなんとなく親しみがある。

 展示されているのはどれも色鮮やかなファッション絵画なのだが、画家ごとに大人の女性が得意だったり若い女性が得意だったり、またモダンだったりエレガント系だったりいろいろ個性に違いがある。またまた中には場面を設定してファッションを見せるものとかちょっとしたキャプションがついているものもあり、このへんの文法は現代の雑誌と比較しても面白いのかなぁと思った。

 しかし、この展示の最後は初期の『ヴォーグ』で、『ヴォーグ』って最初期は表紙が写真じゃなく絵だったのである。うち、ファッション雑誌とか全く読まないのだが、『ヴォーグ』の最初の表紙は絵だったというのはなんか結構衝撃だった。なんというか現代の我々は「こういうものが着たい」「ああいうものが着たい」っていうのを写真を見て考えたりするわけだが、この頃の人は絵を見て考えてたわけである。商業写真と商業絵画ではファッション表象にどういう差があるんだろうとか、ファッション絵画っていうのはどの程度リアリズムじゃないといけないんだろうかとか、いろいろ疑問が出てきたのだが、まあ私はあまり服飾がわからんのでこのへんはちょっと…

 とはいえ、見ているだけで楽しい展覧会なので練馬までわざわざ行く価値はあった。日曜までなので皆様も是非どうぞ。入場料安いし…