メロドラマ色の強い翻案〜シアターオーブ『ロミオとジュリエット』

 初めてヒカリエに入ってシアターオーブで『ロミオとジュリエット』を見てきた。この間宝塚で見てきたミュージカルと同じヴァージョンだが、演出も台詞も相当違う。台本も若干変えてる感じ。再演なのでどのくらい初演と違っているかとかはちょっとわからないのだが…

 こちらのヴァージョンは若干のモダナイズがあり、セットは現代ヴェローナの工事現場みたいなところだし(イタリアは遺跡とかをしょっちゅう改修しているし、セットの雰囲気は悪くなかった)、携帯電話が重要な役割を果たしたりする…のだが、衣装は現代と時代物の折衷みたいな感じで少し半端である。歌や踊りの安定感は宝塚のほうがあったような気がする。演出や台詞の編集などはシアターオーブのヴァージョンのほうがメロドラマ色が強く、私はあまり感心しなかったなぁ…尺が長いのもあり、とくにあの最後近くのキャピュレットの歌はカットしてもいいんじゃないだろうか。あと、宝塚版よりアレゴリー的な人物の踊りが減らされているのだが(宝塚版は二人だがこれは一人)、一人になったせいで余計なんかおまけのようになっているので、あのアレゴリーダンスみたいなのはいらないんじゃないかと思う。

 シアターオーブ版の良いところはロミオとジュリエットの若々しさ、初々しさを非常に強調しているところで、最後に二人が死ぬところの演技はとても良かったと思う。ロミオとジュリエットの結婚場面は宝塚版より比較的シンプルでいいと思った。

 と、いうことで、私の印象では宝塚版のほうがメロドラマ色が少なくスピード感があって好みだったかも。シアターオーブ版もいろいろ面白いところはあるのだが。