ルネサンスを漫画で表現する~「『チェーザレ 破壊の創造者』惣領冬実原画展」

 ポーラミュージアムアネックスで「『チェーザレ 破壊の創造者』惣領冬実原画展」を見てきた。

 漫画というと20世紀の様式だと思ってしまうところがあるが、大きく原画を展示するとただ迫力があるだけじゃなく実はけっこうルネサンスの絵画に似ているところがあることがよくわかり、ルネサンス漫画だけあって当時の絵画の様式を研究して描いているんだなぁと納得するところがあった。人の顔なんかは現代風なのだが、建築物とかたくさん人がいる場面、あるいは服の感じなんかは相当イタリアルネサンスの絵画を意識している感じで、こういうこだわりが『チェーザレ』の緻密な質感を作っているのかぁと思った。参考にした資料は少ししか展示されていなかったのだが、三井記念美術館妖怪展展みたいにルネサンスの絵(複製でいいので)と漫画の原画を並べて展示したらもっとよくわかるのではと思う。ルネサンスの絵画はいろいろ特殊な技法を使って描いていたはずだと思うのだが、それを全然違う漫画の技法で描くときにどういう苦労があるのかとかいろいろ気になる。

 登場人物の服装に関するタッチパネルのインタラクティヴ展示も面白いが、服の色の話をするならもっと色鮮やかな絵を出してきてもよかったんじゃないかなぁとも思った。