超シュール!フィルムセンター「チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより」展

 国立近代美術館フィルムセンターで「チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより」展を見た。チェコ映画のポスター、日本映画のチェコ版ポスター、ハリウッドその他の各国映画のチェコ版ポスターの三部構成で、チェコアヴァンギャルドなポスター美術を見せるというもの。大変よかった。

 とにかくどのポスターも抽象化とか象徴の使い方が超独特で、『マイ・フェア・レディ』や『ゴジラ』までなんかシュールな映画に見えそうなポスターが作られている。チェコ映画のポスターに至っては全部ヤン・シュヴァンクマイエルかなんかの前衛映画かと思うようなデザインだし、あとパネルに映画内容の簡単な解説がついているんだけれどもそもそもあらすじからしてぶっ飛んだ話が多い。私がかねがね見たいと思っていた Red Western(「赤色西部劇」?共産圏で作られた西部劇映画)の代表作であるチェコ版西部劇『レモネード・ジョー 或いは、ホース・オペラ』(酒が嫌いでレモネードを愛する販売員が西部で活躍するらしい)のポスターもある。

 チェコでこういう独創的なポスターが発展したのはアメリカの映画配給会社が宣伝に影響力を持てなかったかららしい。ポスター美術と言うとキューバが有名だが、共産圏はアメリカ美術の影響を排除できたせいもあってわりと独自のデザインの発展があった地域もあったんだなぁと思う。共産圏のデザインというと社会主義リアリズム一辺倒でだんだんつまんなくなっていくというイメージが強いが、地域ごとにわりと多様性もあって必ずしもそういうモデルでは切れないのだろうと思う。

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