明日から学校で使える入門書〜ジェリー・ブロトン『はじめてわかるルネサンス』

 ジェリー・ブロトン『はじめてわかるルネサンス』(ちくま学芸文庫、2013)を読んだ。

はじめてわかる ルネサンス (ちくま学芸文庫)
ジェリー ブロトン
筑摩書房
売り上げランキング: 109,164

 これはオクスフォードから出ている入門書シリーズとして定評があるVery Short Introductionシリーズに入っているThe Renaissance: A Very Short Introductionの翻訳で、大変役に立つわかりやすい入門書である。既にid:nikubetaさんが詳しいレビュー(これこれ)をあげてくれているので詳しい内容紹介は不要かと思うのだが、芸術、哲学から技術や西ヨーロッパにとどまらない各地域の交流など幅広い視点で短くぎゅっといろいろな話題を詰め込んであり、かつわかりにくくはなっていないので、明日からでも大学の授業で使用できそうな本だと思う(そんなに難しくないので高校生とかでも読めるだろう)。ルネサンスでもちょっと外れたほうの英国ルネサンスをやっている者としては、時代的にも地域的にもけっこうとっちらかっているルネサンスなるものを、最初の部分で学説史的整理を含めて見通しよく提示してくれているという点で学生とかにも紹介しやすくありがたい本である。そこまで新しい内容はないし詳しさの点では他にいろいろな本で補う必要があるだろうが、そのぶん突飛な学説とかがなく安心できるというところもある。大変オススメの本である。