ピーター・ブルック『秘密は何もない』(早川書房、1993)を読んだ。
ブルックというと『なにもない空間』や『ピーター・ブルック回想録』のほうが読まれていると思うのだが、この『秘密は何もない』のほうが『なにもない空間』より新しく、それ以降に考えた内容や意見の変化などを反映しているところがあり、ブルックが観客とどういうふうに向き合っているかについて多くの示唆を含んでいるように思った。実は今、仕事でこちらに出てくるピーター・ブルックのドキュメンタリー映画『タイトロープ』の公開準備を手伝っているので、その点ではかなり役に立った本である。