長谷川町蔵、大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門』(アルテスパブリッシング、2011)を読んだ。
ヒップホップの歴史や聴き方に関する見通しの良い解説書で、対談で入門とか大丈夫なのだろうか…と思いながら手にとったのだが、まったくもって良い入門書として機能していると思う。音源を聴きながらでないと若干つらいところもあるので、前にとりあげた『西洋音楽史I』みたいにプレイリストがついていたりするといいのかもしれない…が、ヒップホップだとちょっとキツいだろうなぁ。
ただひとつ思ったのは、これ『文化系のためのヒップホップ入門』というよりか『文化系男子のためのヒップホップ入門』だろうということである。ヒップホップの歌詞が(そうでないものももちろんあるが)性差別的だ、というのは昔からよく言われている話で、この本でも何度かとりあげられているのだが、出てくるたびに「ヒップホップは男子中学生みたいなノリだからしょうがない」的な話で終わってしまうあたり、それ全然文化系女子にとっては興味持つに至りませんよねぇと思ってしまった(なんで男子中学生みたいなガキ臭い性差別のノリを、その手のノリのヤツにバカにされ続けてきた文化系女子が耐えねばならんのだ)。アメリカの女性にもヒップホップを聴いている人がたくさんいるはずなのでなんでそういう人がヒップホップを聴くのか、とかそういう話があればもっと文化系男子だけじゃなく文化系女子も興味持つと思うんだけど。
あと、私、今までラッパーって経済学者みたいだとよく思っていたのだが、これ読んでさらにその念を強くした。まあこの話は別にいいんだが…