『ザ・コミットメンツ』〜原作に比べると、ただのフィールグッド?

 パレス座でThe Commitments『ザ・コミットメンツ』を見てきた。

 これ、原作はアイルランドの人気作家ロディ・ドイルの小説で、映画が大変有名である。映画は見れなかったのだが、小説だけは読んでいった。

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 小説も芝居も、ダブリンを舞台に素人たちがソウルバンドを作ろう!と苦闘した後、いろいろバンドの人間関係とか紆余曲折があって空中文化という話なのだが、原作と舞台でかなり味わいが違う。芝居のほうはなんだかんだでバンドが解散するものの、結局元に戻って再結成して盛り上がっておしまい、なのだが、小説のほうは「もう政治的なソウルとかいいや〜」といって元メンバーたちが今度はカントリーロックのバンドを結成しようとしはじめる、というオチになっている。

 …で、新しいものには何でもとびついてしまう非政治的なダブリンの若者達を辛辣に諷刺した小説版に比べると、舞台版はただの楽しい話、っていう感じで、かなりイマイチかと思った。コテコテのアイルランド英語を駆使したおもしろおかしいセリフや可動式でダブリンの街角を見せるセット、パワフルな音楽パフォーマンス、歌の意味にひっかけたジョークなどは見るべきところがあったのだが(デコ役のキリアン・ドネリーはすごく歌がうまいがちょっと初めてソウルバンドのヴォーカルになった若者にしては洗練されすぎている気もしたな)、まあ小説のほうが面白いかなぁという感じ。とはいえ、映画も見て比較したいなぁ。

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