『大統領の執事の涙』

 リー・ダニエルズ主演、フォレスト・ウィテカー主演の『大統領の執事の涙』を見た。原題がThe Butlerで、かなり骨太な歴史ものなのでこんなセンチメンタルなタイトルじゃないほうがいいんじゃないかと思うのだが…

 内容は、アイゼンハワーからレーガンまでの大統領に仕えたホワイトハウスアフリカ系アメリカ人執事、セシル・ゲインズの生涯を描くものである。セシルは全く政治的意見を示すことなく忠実にホワイトハウスでどんどん代替わりする大統領に仕えるが、一方でセシルと妻グロリアの息子ルイスは公民権運動家として激しい政治活動を行い、父と対立する。最後はセシルが息子と仲直りしてオバマを支援する運動に参加するが、最愛の妻グロリアを失い寡夫となってオバマ当選を迎える…というところで終わっており、オバマが大統領にならなければ実現しなかった企画だな…と思って見ていた。実在の人物をモデルにしているらしいが、大部分は脚色だとか。

 非常にきちんとした歴史もので、フォレスト・ウィテカーオプラ・ウィンフリーから最良の演技を引き出しているだけでなく、音楽からファッションまで細かい時代考証に基づいていて、現代アメリカにおけるアフリカ系アメリカ人の暮らしと政治の移り変わりを描いた作品としては大変よくできていると思う。ホワイトハウスはこういう多数の低賃金で雇われたアフリカ系アメリカ人労働者なしにはやっていけなかったんだなぁ…とか、公民権運動には関わりたがらないゲインズ夫妻がディスコ音楽とかは喜んで聞いていてこのへんも時代考証に基づいているのかなぁ…とか、いろいろ考えるところもたくさんある。ただ、個人的にはちょっとブラック・パンサーの扱いをもっと厚くしてもいいような気もした(パンサーはそれだけで映画が何本もできるだろうし扱い的に難しいのだろうが…ちなみにキャロルのモデルはキャスリーン・クリ―ヴァーか誰かかな?)。