こんな変な邦題つけたヤツどこのどいつだよ〜『ザ・イースト』

 『ザ・イースト』を見てきた。7

 これ、私ほとんど予備知識なしで見に行ったのだが、てっきりThe Yeastって映画なんだと思ったんだけど、見に行ったらみんなタイトルになってる環境テロリスト組織の名前を「ジ」・イースト(The East)と発音しており、こんな邦題つけたヤツどこのどいつだよと思った。なんで母音で始まるイーストの前でTheが「ザ」になるんだよ!

 …という重箱の隅をつつくようなツッコミはともかく、環境テロリスト集団The Eastに潜入した民間調査会社の女性調査員ジェーンのサヴァイヴァルを描いたシリアスなスリラ―で、大変よくできている。この映画はテロリストを悪魔化せず、問題はたくさんあるがその心情などについては理解できるところもある、つまりはふつうの人間による欠点だらけの利益集団の一種にすぎないのだ、という方針でThe Eastを描写しており、貧乏くさい小屋にこもって計画を練るところとかやたらディテールもリアルで力がある。一方でこの手の危険な仕事を民間の調査会社がやっている(FBIがなかなか介入してこない)というあたり、戦争も保安も全部民営化・外注になっちゃってるアメリカ社会の恐ろしさを諷刺しているようで、誇張はあるのだろうがちょっと怖い。勧善懲悪のアドヴェンチャーにならず、観客に考えさせるようなストーリー展開の中でヒロインの行動と決断を抑えたタッチで描写していくあたり、とても力のある作品だと感じた。

 …とはいえ、どうも私、こういう真面目でブラックユーモアのないシリアス一辺倒のスリラーってあまり得意じゃないらしく、前半ちょっとたるくなって眠気を感じたりするところもあった。まあこれは完全に個人の好みの問題だと思うのだが…