文学座『お気に召すまま』

 文学座で『お気に召すまま』を見てきた。この間の『尺には尺を』と二本立て構成である。

 この演出はまあ「そこそこ面白い」という程度だったのだが、とにかくセットがいい。大がかりなものではないのだが、金属製の動かせる木を用いた森のセットと、上からつるした花かご(実際に劇中で羊飼いがつるす作業をやる)が華やかな牧場のセットのとても微妙な対比が無機と有機の対比みたいになっていて面白かった。自然の環境である森の荒々しさと、人の手が入った牧場ののどかさをこういうふうに表現しているのか…と見ていて楽しかった。冒頭からテニスウェアのロザリンドとシーリアが出てくるあたり、ボールがはねるような若い女性同士の軽妙な会話な会話を通して二人の間の情愛をうまく表現しており、小道具や衣装なんかの使い方はとても気が利いてように思う。

 省略されがちなエピローグは、「もしも私が女なら…」という台詞をのぞいてやっていた。このあたりはなかなか処理が難しいなぁ…

 追記:あとで思い出したのだが、レスリングの場面で一瞬だけ出てきていたブラックフェイスは何だったの?絶対やめたほうがいいと思うんだが。