労組から電車男まで〜『日本人の「男らしさ」:サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う』

 サビーネ・フリューシュトゥック他『日本人の「男らしさ」:サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う』長野ひろ子監訳(明石書店、2013)を読んだ。

日本人の「男らしさ」 -サムライからオタクまで 「男性性」の変遷を追う-
ミッシェル メイソン クリストファー ガータイス トム ギル ウォルフラム マンツェンライター テレサ A アルゴソ イアン コンドリー
明石書店
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 宝塚の研究で有名なジェニファー・ロバートソンの「ロボットのジェンダー : 日本におけるポストヒューマン伝統主義」が最近、人工知能の雑誌がらみで話題になったのでそれを目当てに読んだのだが、他の論文も、労働組合からホームレスまで多様なテーマを扱いながら日本文化における男性性を論じていてとても興味深い。とくにスーザン・ネイピア「サラリーマンはどこへ行った? : 『電車男』に見る男性性・マゾヒズム・テクノモビリティー」では、ぬいぐるみとかいろんな細かい要素を見ながら男性性を論じていて、とくにエルメス電車男を芝居に誘って電車男が行くかどうか迷うところの分析なんかは舞台クラスタとしては非常に面白かった。