勘弁してくれ!!〜下北沢小劇場B1『ロミオとジュリエット』

 下北沢小劇場B1で演劇企画集団THE・ガジラによる『ロミオとジュリエット』を見た。

 …それで、厳密に言うとシェイクスピアの台本をそのまま使うんじゃなく翻案だったのだが、こんなひどい『ロミオとジュリエット』初めて見たっていうくらい大っ嫌いだ。開始30分で劇場を出ようと思ったのだが、小劇場で通路にもお客を入れれたため退路を断たれ、はっきり言って二時間拷問だった。

 赤い糸を張ったセットとかはけっこう工夫があると思うのだが、いいと思ったのはそこまでで他は全部ダメだった。とにかく台詞に一貫性がなく、シェイクスピア風の壮麗な台詞と口語みたいな台詞、あと急にため口になったり女言葉になったり、どういうスタイルでいきたいのかさっぱりわからない。しかも役者が皆一本調子に叫んでばかりで台詞が楽しめない(台詞回しはとにかく悲惨だった)。全体的に絶叫させすぎの演出が悪いんだと思うんだが、叫んだりわめいたりすれば客が感動すると思ったら大間違いだぞ…あと照明がまぶしすぎるわ効果音はデカすぎるわ、全体的に過剰さでうんざり。

 しかしながら一番うんざりしたのは、脚色ですごいミソジニー色が増えてるところである。キャピュレット夫人やロザラインの出番がずいぶん原作より増やされているのだが、どっちも出てきたと思ったらやたら大声でジュリエットにつっかかったり、女同士でいがみあってばかりでものすごいミソジニーを感じる。他の台詞もなんかもうミソジニー丸出しのものが多くて、しかも全体的に演出が中途半端なわりに過剰すぎなのでそういうものを相対化するような効果がなく、いったいなんなんだこれはと思ってほんっとつらかった。いつも思うが、なぜ拷問みたいな芝居に限って小屋の出口のほうまで客席があるのか…途中で出られない。