吉祥寺バウスシアタークロージング上映『ウィズネイルと僕』

 吉祥寺のバウスシアターのクロージング上映で『ウィズネイルと僕』を見た。これは1987年の映画で、日本では全然知られてないがUKではカルト映画として絶大な人気がある。UKにいる間に見ようと思って結局見れなかったので、この機会に見てみようと思い、バウスへ。

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 舞台は1969年。売れない役者であるウィズネイルと「僕」(名前が明示されてない)は、ロンドンでほぼすっからかんのその日暮らし。フラットの台所も片付けず、酒を飲んで暖まり、ちょっと薬をやってうさばらし…というようなだらしない暮らしをしている。とはいえ、あまりにも先の見えないじだらくライフに嫌気がさした2人は、ウィズネイル(ウィズネイルはかなりポッシュな家の出身である)のおじであるモンティから田舎の別荘を借り受けて車で遠出…するが、別荘はすごいボロ家で、都会暮らしであんまり生活力のない2人は料理もできず、薪の入手にも一苦労する始末。ところがそこに、「僕」に惚れてしまったらしいゲイのモンティが乗り込んできて…というのがあらすじである。


 全体的に、たいしたワクワクするようなあらすじもないわりにはユーモアがあり、撮り方も独特で、仕事を見つけた「僕」がウィズネイルと別れて去って行くあたりの余韻など、いいと思ったところはある。さらに音の使い方が巧みで、とくにジミヘンの使い方がすごくてそこはほんと面白いと思った。とはいえモンティが乗り込んでくるあたりとか、80年代としては面白かったんだろうが、今見るとそうでもないような気がしたし、魅力はあるけどいったいこれがどういう点でそこまでカルト映画なのかはけっこう謎だったかも…

 とはいえ、バウスシアターがなくなっちゃうのは寂しいし、別れの映画という点で、クロージングでこれを見られたのはとても良かった。