リアルIRA〜世田谷パブリックシアター『ビッグ・フェラー』

 世田谷パブリックシアターで森新太郎演出の『ビッグ・フェラー』を見てきた。これ、ロンドンで初演を見て、訛りまくった英語がよくわからなかったわりには非常に面白かったのだが、あんまりお客さん入ってなかった…んだけど、セタパブ公演はほぼ満席でびっくり。この間の『ロンサム・ウェスト』もそうだったのでアイルランド演劇キてるのか…と思いつつも、たぶん別にそういうわけではなくスターが出てるからだろうと思う。初めて連れ合い(アイルランドやってる)と芝居に行ったのだが、周りが女性ばかりだったもんで連れ合いが「ここにリアルIRAは二人だけだ」と言っていた(いや私はリアルIRAじゃないし暫定派でもないぞ)。

 あらすじはもちろん、気の利いた音楽の使い方なども含めた演出はかなり初演をなぞっている感じだが、暴力描写はいくぶん抑え気味で、そのわりに初演の時に思った「エリザベス暗殺場面がもたつく」感じなんかは改善されてる気がした。台詞の早さはたぶん初演のロンドンのほうがすごかった。ルエリ(成河)の訛りはかなり日本語に置き換える時に苦労している感じだったな…訛りがニューヨークに住んでどんどんなくなっていくあたりの描写はとてもうまくいっていたと思うけど。コステロ役の内野聖陽とマイケル役の浦井健治の演技も良かったと思う。

 しかし、初演で英語で見たものを日本語でまた見るってとても不思議な感じである。なんというか、日本語で見たほうが自分に近い話として理解でき、リアルIRAがほんとに「そこらの市民が実はテロリスト」みたいな、文字通りリアルなIRAとして感じられるような気もするのだが、英語で初演を見た時のほうがもっとエネルギッシュなローカル色、政治色を感じたような気もするので、ちょっとこのあたりは自分でも分析が難しい。

 一点だけ付け加えておくと、オマーの爆破事件、あれ日本人が見てわかるのかな?あの演出だとオマーの爆破が未然に防がれたみたいに見えるけど、実際はすごい被害が出てる。UKやアイルランドで見ればあの皮肉がわかるんだが、日本で伝わるのかなぁ…