ひたすら待っているだけの狂気〜座・高円寺『リア』

 座・高円寺で『リア』を見てきた。リア王の狂気を再構成し、たった三人(渡辺美佐子植本潤、田中壮太郎)で演じるというもの。

 一応リアは渡辺美佐子なのだが、原作のいろんな人のセリフを三人にいろいろ振り分けて言わせており、さらにはハムレットもちょっと入ってきたりしていて、いかにも孤独と狂気の世界という感じがするし、さらにはちょっと『ゴドーを待ちながら』とか『出口なし』風の、抜け出すところのないひたすら待っているだけの狂気、みたいな雰囲気もある。そういう点ではすごく密度も濃いし、役者の演技もすごかった…のだが、一言で言うとあんまり私の好みじゃなかった。なんというか、息が詰まる。

 渡辺美佐子リア王役ということで異性装を用いた上演なのだが、これも演技じたいはすごいと思うけどちょっといろいろ考えたいことがあるので保留。例えば、老人=ジェンダーが抹消されてる、という解釈になるのかなぁ、とか…