普通。〜あうるすぽっと、劇団昴『リア王』

 あうるすぽっとで菊池准演出、劇団昴の『リア王』を見てきた。

 最近流行らしい、大きな布を使った舞台装置やたくみな音楽、照明などはとても良く、2時間45分きちんとやるリア王っていことで、非常にちゃんとした『リア王』だったと思うのだが、私は全然好みじゃなかった…

 まず、私が個人的に福田恆存訳が好きじゃないっていうこともあるのだろうが、翻訳が悪い。詩的なところが非常に少ない台本だと思うし、それにぴったりあうようななんか散文的な台詞回しにしているのでそこも私はすっごくつまらなく感じた。とくにコーデリアとか、台詞にすごく力がない感じが…台本に演出も演技もあわせているせいで著しく情趣が削がれてると思った。

 それから、ここ三週間くらいで三本も『リア王』を見てるからだと思うのだが、この間の『リア』や『リア王−月と影の遠近法−』に比べると、とにかく「フツーにやってるだけ」で全然、個性的な魅力がないように見える。

 まあ、こういうちゃんとしたリア王が好きな人もいると思うのだが、とにかく私は全然好きになれなかった。この芝居はもっとワイルドなもんなんじゃないかと思う。