題名に偽りあり!〜『ラストベガス』(ネタバレあり)

 『ラストベガス』を見てきた。

 主人公は子ども時代からの親友であるビリー(マイケル・ダグラス)、パディ(ロバート・デ・ニーロ)、アーチー(モーガン・フリーマン)、サム(ケヴィン・クライン)。ずっと未婚で、70歳で32歳の若い女性と結婚することになったビリーのバチェラーパーティをサムとアーチーが企画する。寡夫になったばかりのパディも会場のラスベガスに呼びたいが、亡き妻ソフィ(ビリーとパディ両方から愛されていた女性)の葬儀にビリーがこなかったことをパディが怒っているため、来ないかも…と思ったアーチーとサムは騙くらかすような感じで無理矢理パディをベガスに連れて行く。おじいちゃま4人のワイルドな週末がはじまるが、その運命やいかに!?というコメディ。あまり期待していなかったのだが、思ったより良かった。

 とにかく、出てくる4人は知らない者もいないような実力派スターなので、笑いのツボをしっかり抑えたくつろいだ演技が安心して見ていられる。何よりもいいのは、4人ともたぶん民族が違う設定なのに(アーチーはアフリカン、パディはアイルランド系、おそらくビリーがユダヤ系じゃないかと思う)、子どもの頃からの友達だという設定が非常に自然に入っきて、実にピッタリ息があっているということである。民族問題を正面から扱った映画も大事だが、こういうおまぬけコメディで民族が違うおっさんが普通に友達として出てきてバカやったりする映画が作られるようになっているというのはいいことだと思う。

 とくに素晴らしいのはモーガン・フリーマンである。いつもの「何を言ってもなぜか説得力があるおっさん」演技を封印してお茶目なじいちゃんを…と思ったら、最後のほうで「説得力おっさんモード」を全開にしたりして、メリハリがあって面白い。一番いいのは、「セプテンバー」が流れるパーティ会場、赤いスーツでビシっと決めて、'I got you, babe!'と言いながらシェールの格好をしたドラァグクイーンと踊る場面である。モーガン・フリーマンのおっさんダンスは是非是非もっと長く見たかった!と思う。

 最後は70歳のおっさんたちの映画にもかかわらず「人はいくつになっても成長することができる!」みたいなポジティヴな結末で終わるのだが、そこまで見て『ラストベガス』ってタイトルは偽りありだなーと思った。あの4人はまたこの後も何度かベガスその他でバカ騒ぎをするに決まっているからである。

 ちなみにこの映画ではサムがラスベガスのドラァグクイーンたちと親しくなって…というところがあるのだが、ドラァグクイーンのひとりが妻を連れて私服(スーツなんだけど、盛装はドラァグだと思うので)でパーティに来るところがあり、それがなんか面白かった。性転換してたり明らかにゲイだったりするドラァグクイーンもパーティには来ているのだが、「別にドラァグクイーンだとしても全員がゲイとは限らないんですよ」っていうのを、こんなバカ映画で示唆しているのが面白い。

↓ちなみに、明らかにこの映画の影響を受けてる。ただ、こっちの映画のほうが女性やゲイ、人種の描き方がはるかに成熟してて、オリジナリティではずいぶん劣るかもしれんけど見ててやな気分にならないのは『ラストベガス』のほうだと思う。

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